育成の打診は「なかった」、同級生の存在は「最高」 戦力外4選手のコメント全文

戦力外通告を受けたソフトバンク・椎野新、重田倫明、増田珠(左から)【写真:竹村岳、藤浦一都】
戦力外通告を受けたソフトバンク・椎野新、重田倫明、増田珠(左から)【写真:竹村岳、藤浦一都】

支配下2選手、育成3選手に戦力外通告…6年目の椎野は「それなりの覚悟は」

 ソフトバンクは28日、椎野新投手、重田倫明投手、増田珠内野手、フランケリー・ヘラルディーノ内野手、早真之介外野手に、来季の選手契約を締結しない旨を伝えたと発表した。取材対応のなかったヘラルディーノを除いて、4選手のコメント全文を掲載する。増田は、小久保裕紀新監督と「自分の頭の中にはあった選手だった」というやり取りがあったことを明かす。重田は先輩にも同級生にも、何度も感謝の言葉を伝えていた。

・椎野新投手
――球団からはどんな話が。
「来季の契約はしないというふうに伝えられました」

――受け止め方としては。
「大卒で入って、活躍ができているとは思わなかったので。やっときたか、という感じで。それなりに覚悟はしていました」

――ここまでの6年間を振り返って。
「本当、まずはやっぱり期待してくれたファンには結果で返せなくて申し訳ない気持ちと。でも充実というか、素晴らしい6年間。いろんな人に支えられてやれたなっていうのがありますし。昨日の時点でいろんな人に連絡したんですけど、終わって初めて気がつくというか。こんな僕でも、僕を誇りだと言ってくれる人も友達とかでたくさんいて。本当、感謝。ホークスグループ含めて感謝しかないです」

――今後については。
「必要としてもらえるところがあるなら行きたいですし、でもそんな甘い話でもないと思う。トライアウトを含めてまだ未定ですけど、基本線はそんな感じです」

――表情は清々しい。
「わりかし、ひと区切りついたなっていうのはあります。最初に、応援してくれる人への感謝がきて。しんみりした感じではないですね。この先もあるので。結構元気です」

――「誇り」だと言ってくれた人は、どんなニュアンスでしたか?
「僕の小、中学校のところが、プロ野球とかかけ離れていたところだったので。ある意味、僕たちの夢を叶えてくれてありがとうって言ってくれる人もいたし。こういうのって、終わってみて気がつくもの。本当、感謝以外の言葉が見つからないです」

――まだやれるという思いは。
「まだ体は元気ですし、やれるなら違う球団でやりたい気持ちもありますけど。家族もいるし。個人的には、まだ投げられるという言い方もあれですけど、それなりに、自分の中では思うことはあります」

――一番の思い出は。
「大卒で入って、最初のB組のキャンプで。1回目で終わってから倉野さん(信次コーチ、当時)に呼ばれて。『お前もうピッチングするな』と。球が弱すぎるから、明日から田浦と吉住の高校生と、3人で練習しろって言われて。それが最初、入った時の思い出です」

――そこから150キロを超えるまでに成長した。
「プロで勝つこともできましたし、ホークスに入れてもらわなかったらできない経験ばかりだったので。本当、感謝です」

戦力外通告を受けたソフトバンク・重田倫明【写真:竹村岳】
戦力外通告を受けたソフトバンク・重田倫明【写真:竹村岳】

・重田倫明投手
――球団からはどんな話が。
「来季、契約しないということでした」

――受け止め方としては。
「覚悟はしていましたし、5年もいさせてもらえたので。こういう形になると薄々は気づいていたので、逆にスッキリした気持ちが強いです」

――今後については。
「今後は何も考えていないですけど、いろんな人の話を聞いて。自分が一番ワクワクする方向に行けたらいいなと思います」

――支配下も掴めそうなところまで行っていた。
「結果が残せなかった。ただ実力不足だったところではありますけど。そういうギリギリのところでいつもやらせてもらった球団には感謝ですし、いろんな先輩に声をかけてもらったので。すごくしんどい5年間ではありましたけど、幸せな期間でした」

――今季はウエスタン・リーグでも6試合登板。なかなか思うようにいかなかった。
「思い通りに行った時はない。3年目の時から『今年が最後』と思いながら、自分の人生をかけようと臨んできたので。今年も先発でスタートしたところから、オープン戦でも投げさせてもらった。その後に3軍行きになったのは自分の実力不足ですし。5年間、ずっと思い通りに行かなかったシーズンだったので。今年は、って感じではないです」

――東浜巨投手に連絡は。
「昨日電話をさせてもらって。巨さんもそうですけど、僕が言えることではないかもしれないですけど、千賀さん(滉大、現メッツ)だったり、石川さんだったり、いろんな先輩が声をかけてくれて自主トレをさせていただいた。自主トレに限らず、有原さんだったり、今年退団になってしまいましたけど、古川(侑利)さん、OBになってしまいますけど中谷(将大)さん、島袋(洋奨)さん、僕は先輩にすごく恵まれて、この5年間を過ごせたと思います。こんな育成の選手をそうやって、身近にスーパースターがいる中でお世話になった先輩がいたので」

「昨日、巨さんと電話をした時も『謝ることじゃないよ』とは言われたので。『今、そういう時期だけどこれから頑張るしかないし、これが全てじゃないから頑張ろう』と言っていただいたので。僕もその気持ちで頑張っていこうかなと思います」

――詫びの言葉を伝えたのか。
「そうですね。自主トレであれだけ親身になってお世話になったので。千賀さんとはちょっと電話ができなくて、石川さんにはできて。巨さんにも『すみませんでした。いい報告ができませんでした』っていうのを言った時に、大抵の先輩方は謝ることじゃないと言ってくれたので。最後の最後までいい先輩でした」

――ワクワクする方向と言っていたが、思い描くことがあるのか。
「思い描いていることはないですけど、さっきも言いましたけど、携わってくれた球団の関係者ですごくお世話になったコーチや先輩、あとは他球団の先輩だったり、尊敬している人が多くいるので。そういう人たちの話を聞いて。自分が今したいことはないので。話を聞いて、僕もざっとなのでわからないですけど。惹かれた方に行きたいなって思います」

――1996年の同級生はどんな存在だった。
「最高でした。どの球団の、どの世代の友達よりもいい仲間だったり、一生の縁だと思うので。すごく大切ですし、甲斐野だったりクリ(栗原陵矢)だったり『すぐ話そう。飯行こう』と言ってくれたので。もう感謝しかないですし、誰よりも、幸せな場所の世代に生まれて、入ってこられてよかったです」

――甲斐野投手や栗原外野手に、自分の分まで頑張ってほしい思いは。
「いや、それは。さすがに僕の責任というか、僕の分まで頑張ってくれよというのはおこがましいと思う。単純に、いちファンというよりは、大事な友達として、大事な仲間として応援していきたいと思うので。それは言うことなく、人として今後も関わっていけたら」

戦力外通告を受けたソフトバンク・増田珠【写真:竹村岳】
戦力外通告を受けたソフトバンク・増田珠【写真:竹村岳】

・増田珠内野手
――球団からはどんな話が。
「来季は構想外だと言われました」

――受け止め方は。
「まだちょっと、昨日だったので。びっくりした部分があったので、まだ完璧には理解できていないところがあります」

――少しずつ出場機会が増えていたところだった。
「小久保監督になるので、そこはすごく自分の中でもやってやるという気持ちがありましたし。小久保監督とも2年間、下でもやらせてもらって。小久保さんに必要とされる選手、そういう気持ちでやっていたので、そこはずっとイメージしながら、小久保監督のもとでっていうのはずっとイメージしていたので。それは残念な気持ちはあります」

――球団からの説明は?
「いや、特には」

――育成での打診も。
「なかったです」

――「みやざきフェニックス・リーグ」にも参加していた。だからこそ整理ができていない。
「そうですね。フェニックスでも試合に出させてもらっていましたし。監督からもいろんなアドバイスをもらいながらやっていたので、そこはちょっと追いついていない部分があります」

――まだやれるという思い。
「野球は大好きなので、辞めるという選択肢は今のところない。話を聞きながら、だとは思っています」

――体には問題がない。
「元気というか、良くなっていっているところ。今辞めると、悔いが残るかなというところです」

――小久保監督とも話をした。
「昨日挨拶をさせてもらって。『前を向いてやっていこう』と。小久保監督自身も『ビックリしている』『自分の頭の中にはあった選手だった』というふうにはお話いただいた。そこが叶わなかったことが、自分の中では、ホークスの中では悔しいことかなと思います」

――この6年間を振り返ると。
「苦しいことが多い6年間だったんですけど。手首の手術があって、1年間リハビリというところから去年の初安打、初ホームラン、今年も出場機会を増やせたのは、諦めなかった自分というのは褒めてあげたいと思いました。今年長崎で試合があったので、そこでホークスのユニホームで試合に出られたというのは、自分の中では、よかったかなと思います」

――松田宣浩選手を追いかけて、自分を鼓舞する姿勢を貫いてきた。
「それは僕のモットーじゃないですけど、元気を出してナンボの選手だと思うので。そこはどこに行こうが、やっていこうという気持ちはあります」

――松田選手には連絡は。
「しました」

――どんな言葉を。
「『嘘やろ』『嘘つくな』みたいな感じで言われました」

――今後も練習を続けて考えていく。
「お話をいただけるのなら、ありがたくいただきたいと思いますし。トレーニングしながらやっていけたら」

戦力外通告を受けたソフトバンク・早真之介【写真:竹村岳】
戦力外通告を受けたソフトバンク・早真之介【写真:竹村岳】

・早真之介外野手
――球団からの話を受けて。
「これから野球するにしても、しないにしても、今後のことはできるだけサポートするから、と」

――受け止め方としては。
「この世界はどれだけ取り組みが良くても、頑張っても、結果が出なかったら切られてしまう世界。そこは仕方ない」

――今後については。
「まだちょっと昨日のことで頭の整理がついていなくて、これからしっかりと周りの人と話して決めていこうと思います」

――ホークスでの時間はどんな時間だった。
「やっぱりスカウトの方をはじめ、育成でしたけど、自分の夢だったプロ野球選手になれてすごく嬉しかったですし、監督コーチとか、スタッフの方に恵まれて、幸せな3年間でした」

――自主トレをともにした中村晃外野手に連絡は。
「連絡しました。『とりあえず球団へ行ってきな。落ち着いたらまた話しよう』って言われました」

――どんなことを学んだ存在。
「晃さんから言われた言葉があって。どの世界でもそうだと思うんですけど『全ては自己責任』だと。心に響きましたし、晃さんがそういう行動をとっているので、勉強になりました」

――体は元気。
「元気です」

――野球も続けたい。
「続けたいです」

(竹村岳 / Gaku Takemura)