2回には先発の和田毅が2失点 ベンチでグラブを投げつけたシーンに周東は…
選手は必死に戦っている。それが伝わってくる象徴的なシーンだった。17日に行われた日本ハム戦(エスコンフィールド北海道)。体調不良者が続出し、今宮健太内野手や中村晃外野手らが特例2023で登録抹消となる苦しいチーム状況の中で、気持ちを前面に出して引っ張ろうとしていたのが周東佑京内野手だった。
17日のカード2戦目で周東は「1番・二塁」で出場。1-6で試合には敗れたが、目を引いたのが7回の打席だった。5点を追う中で1死一塁で打席に立ち、長谷川の前に3球三振。すると、バットを振り上げて、思い切り地面に叩きつけて悔しさを露わにした。目線を上げずにベンチまで歩いて戻ると、そのままベンチ裏へと消えていった。
これまで、三振に終わった瞬間にバットを振り上げることはあっても、振り下ろすことはなかった。打てば塁上で喜び、ガッツポーズをすることもしばしば。どちらかと言えば、表情から感情が伝わってくる選手のはずだが、こんなにも悔しさと怒りを表現したことは珍しかった。どんな思いが溢れたのか。
「ムカつきました。打てない自分にムカついたのもそうですけど……。離脱者が多い中で、勝てないのも腹立たしくて」
自分よりも年下の選手がいる中で、周東なりにチームを勝たせようとしていた。2月に27歳を迎え、中堅に差し掛かろうとしている年代。少しずつチームを引っ張るという意識を心掛けていることは、これまでも何度も口にしてきた。離脱者が相次ぐ状況で「上の人たちが抜けた今だからこそ思います。本当に自分のことしか考えていなかったなって」と、その気持ちはより強くなっていた。
5点を追いかける展開で、たとえ周東が本塁打を打っても3点差。試合を大きく動かせるような展開でなくとも「ランナーが1人出て、つないでいければ……。今の状況だとギーさん(柳田悠岐外野手)、コンさん(近藤健介外野手)頼みになってしまいますけど、“2人につなげば”というところでつなげなかった。2人だったら、一発あれば……っていうのもあったと思う」。6回を終えて2安打無得点だったが、周東は一切諦めていなかった。
この日の先発は大ベテランの和田毅投手だった。2回に1安打4四球で2点を失い、5回7安打6四球で5失点。ベンチで2度、グラブを投げつけ、感情を爆発させた。周東はその瞬間を見てはいなかったというが、「和田さんもどうにかしたかったんだと思います。ああいうのを見て、若い僕らがもっと……っていう思いもありましたし、本当にこのままじゃダメだなってすごく思った」とベテランの姿に奮い立った。
「みんな、各々が頑張っています。やれることをやろうとしている」。18日にリーグ優勝の可能性が消滅したチーム状況を、周東なりに代弁する。悔しさを、感情を表現した行動について「見ている側からすると気持ちのいいものじゃないと思います」と、今だから反省もできる。さまざまな意見があることも当然理解した上で、静かな口調で、選手にしかわからない感情も付け加えた。「それだけこっちも本気でやっているって思ってもらえれば」。
(竹村岳 / Gaku Takemura)