被災した地元のために使った球宴休み 牧原大成が語る思いと心が痛んだ出来事

ソフトバンク・牧原大成【写真:矢口亨】
ソフトバンク・牧原大成【写真:矢口亨】

九州北部を襲った豪雨で大きな被害を受けた地元・久留米市で炊き出しを行った

 ソフトバンクは17日のオリックス戦で前半戦の戦いを終えると、18日、19日はオールスターブレークのため、連休となった。シーズン中の連休はなかなかなく、選手たちはそれぞれ思い思いにオフを過ごした。

 そんな中で故郷のために、一肌脱いだ男がいる。牧原大成内野手だ。牧原大は10日に九州北部を襲った豪雨で浸水や土砂崩れの大きな被害が出た福岡・久留米市を19日に訪れ、被災者のための炊き出しを行った。同市に本店を置く「立花うどん」の協力で、キッチンカーを出し、自ら被災者にうどんを振る舞った。

 自身のオフを使い、被災者のために炊き出しを行った牧原大の思いとは……。22日のリーグ戦再開に向けて、ZOZOマリンスタジアムの室内練習場での練習後に話を聞いた。

 牧原大による久留米市での炊き出しは2度目だった。豪雨で大きな被害を受けたのは、生まれ育った地元で、実家も浸水の被害にあった。14日に、2回目と同様にうどんを被災者に振る舞った。ただ、牧原大本人は練習があったため、訪問できなかった。

「オールスター休みもあったので、もう1回(炊き出しに)行きたいんですけど、とお願いしました。自分がお金を出して、人に任せて(行ってもらう)っていうのはできると思うんですけど、自分が行けるタイミングがあったので。僕が行ってどうなるかはわからなかったですけど、喜んでもらえて良かったです」

 自ら足を運んで、被災者のために活動したい。そんな思いから、2度目の炊き出しを決めた。多くの地元の人たちに足を運んでもらい、勇気づけるどころか、多くの声をかけてもらったという。「たくさんの人に来ていただいて『元気をもらえた』『来てくれてありがとう』と言ってもらえた。やって良かったですし、逆に僕が元気をもらいました」と、後半戦に向けて力をもらった。

 残念な思いもした。SNSで炊き出しの告知を発信すると、ダイレクトメッセージなどで「偽善者」などという心無い言葉が届いたという。故郷の人たちに喜んでもらえたことが嬉しかった一方で、そうしたごく一部の声には心が痛んだ。

 22日のロッテ戦(ZOZOマリン)からリーグ戦が再開する。ホークスは9連敗中と苦しんだまま前半戦を終えた。仕切り直しとなる一戦。牧原大は故郷の思いも背負ってグラウンドに立つ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)