8日のオリックス戦で最速148キロをマークし小久保2軍監督も1軍へGOサイン
復活への階段を登っている。ソフトバンクの又吉克樹投手が1軍復帰に向けて状態を上げてきた。8日、和歌山・紀三井寺球場で行われたウエスタン・リーグのオリックス戦で3点リードの9回に登板。最速148キロをマークした真っ直ぐの威力は十分で、これで連続無失点は5試合に伸びた。
小久保裕紀2軍監督の地元・和歌山ということで、勝利に徹した一戦。9回のマウンドを任されたのが又吉だった。先頭の代打・石岡にいきなり左前安打を浴びたものの、そこからが圧巻だった。代打・佐野如、続く代打・平野大を連続三振に仕留めると、最後は園部をこの日最速タイの148キロで中飛に打ち取り、危なげなく試合を締めくくった。
「(内容は)いいんじゃないですかね。ファウルも取れるし、勢いで空振りを取ることもできている。真っ直ぐが走っている分、変化球の抜け球みたいなのでも振ってくれるので、そこの出力がもっと出てくれば、もっといいのかなと思います」と試合後に納得の表情を浮かべていた又吉。小久保2軍監督も「上の首脳陣がどういうふうに見てくれているか」と1軍昇格へのGOサインを出した。
昨年7月に右足甲を骨折して離脱し、残るシーズンを棒に振った。再起をかけたシーズンは開幕1軍に入るも、わずか6試合の登板。4月18日の西武戦で3失点し、4月22日には出場選手登録を抹消された。以降はファーム暮らしが続く。この2か月半、取り組んできたのは“出力アップ”だった。
もともとはコントロールが生命線の又吉の投球。ただ、2022年に故障離脱する前と比べて、今季の平均球速は2~3キロほど低下するようになった。2軍に降格となる際に、1軍首脳陣から突き付けられたのは「球威がない」という課題だった。
「ギャップは多少ありましたけど、でも『球威がないことには』というところで、1回割り切って考えた上で、別にコントロールも捨てなくていいんじゃないかなと。コントロールは捨てたくないので、そこは勘違いすることなく、コントロールを維持しながら出力を上げるっていうところにとにかく頭を使いながら、やってきた」
これまでのウエートトレーニングのやり方を変えてみたり、一連の投球動作の流れの中でどうやって力を効率的に伝えていくか、を模索してきた。ちょっとずつ、それが実を結び、結果に繋がるようになってきた。この日の真っ直ぐはほとんどが145キロ超え。「今日みたいにファウルを取れる、空振りを取れる、勢いでハーフスイングを取れるっていうところに繋がっていけばいい」。やってきたことに手応えができつつある。
ただ、又吉は「まだまだ、まだまだですよ。ここまで来たら、とことん追いかけていきたいと思いますし、何キロ出たからいいやっていうのは無しにする。2軍でも平均で148とか150ぐらいまで出れば、上でも出ると思うので、そこは常に求めていく」と貪欲だ。さらなる球速アップを追い求め、突き詰めていく。
この日、リバン・モイネロ投手が出場選手登録を抹消になり、代わって笠谷俊介投手が1軍へ合流した。「いつ呼ばれるかもわかんないですけど、ここで呼ばれていないっていうところが今の現状なので。そこで選ばれるようにしっかりやっていきたいと思います」。こう語る口ぶりには自信が滲む。又吉が1軍に戻ってくる日は、そう遠くないかもしれない。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)