3打点の柳田悠岐がヒーロー…周東佑京の二盗に「外野が前に来てくれた」
ベンチの勝負手が導いた決勝打だった。ソフトバンクは6日の日本ハム戦(PayPayドーム)で4-3で勝利した。3回の13号2ランに、8回にも勝ち越し打を放った柳田悠岐外野手がヒーローインタビューに選ばれた。「絶対ここで決める、試合を終わらせるという気持ちで行きました。明日移動ゲームで朝早いので」というのも、キャプテンらしかった。
3回2死二塁で右中間に先制の13号2ラン。柵越えを確信する一発で流れを掴むと、リリーフ陣が同点に追いつかれた直後の8回だった。先頭の野村勇内野手がレフトへのヒットで出塁。すかさずベンチは、代走に周東佑京内野手を送った。近藤健介外野手が空振り三振に倒れたが、柳田への2球目に周東が二盗。柳田が右中間を破る一撃で試合を決めてみせた。
柳田の打球は、前進守備だった外野の頭を越えていった。一塁から二塁に行ってくれたことには柳田も「外野が前に来てくれたので、もちろん大きかったと思います。前だったので、当てたら越えると思いました」と感謝する。またしても周東の足が勝利につながった場面だった。7月はスタメン起用のないものの、ベンチスタートでもチームを勝たせる役割を果たしている。
野村勇は昨季、10盗塁を記録。高い身体能力を誇り、当然チームの中でも足の速さはトップクラスだ。そこに周東を送り込んだ理由について藤本博史監督は「左の河野だったので。勇も足は速いんですけど、勇よりも周東の方が確実性があるというか、確率が高い。ここ最近ずっとホームインしているので」と説明する。「そういうところもね、周東は素晴らしい脚を持っている。その辺は勝負をかけました」と、指揮官もここで試合を決めるつもりだった。
周東自身は代走に送られて一塁へ。打席に近藤がいる場面では、リードの大きさには1球ごとに差をつけながらも、スタートは切らなかった。「行こうと思いましたけど、行けなかったです」と塁上にステイすることになった。野村勇の代走ということには「(特別な意識は)なかったですよ」というが、周東が持つスピードが勝利につながったことは確かだ。
7月1日の西武戦(ベルーナドーム)では8回1死二、三塁で浅い中飛でタッチアップに成功した。先発出場は限られながらも、代走としての存在感は際立つばかりだ。決勝点にもつながる生還も多いが、周東自身はただただ謙遜した。
「終盤で行くことが多いし、後ろのバッターがすごく集中している、返してくれているからだと思っています。試合展開もあるし、だいたい代走で行く時はそこで打ってくれる人がいる。ギーさんや近藤さんとか。クリ(栗原陵矢外野手)や晃(中村晃外野手)さんも。僕がどうのこうのじゃなく、誰が行ってもそうなるかなとは思いますけど」
チームはカード勝ち越しを決めて、7日は仙台への移動ゲームで楽天戦を迎える。体の負担を考えても一早い決着を誰もが望んでいた中で、ベンチが一丸となって白星を拾った。
(竹村岳 / Gaku Takemura)