劇的な幕切れだった。ソフトバンクは24日、本拠地PayPayドームでのオリックス戦に3-2でサヨナラ勝ちした。同点で迎えた9回1死三塁で中村晃外野手が左中間へサヨナラ適時打を放ち、接戦に終止符を打った。オリックスとの首位攻防戦で2連勝を飾り、1ゲーム差をつけた。
サヨナラを呼んだのはスタメンで起用された三森大貴内野手の足だった。9回先頭で打席に立つと、遊撃への内野安打で出塁。甲斐拓也捕手の犠打で二塁に進み、中村晃への3球目に三盗を成功させた。オリックス4番手のワゲスパックの投球フォームが大きいことを逃さなかった。そして中村晃が左中間へ。悠々とサヨナラのホームへと生還した。
「よく走ってくれました。スキがあれば前の塁に行くっていうのをね、走塁コーチがやってくれてるんで。三森が本当に大事な場面で走ってくれた。勇気もいるしね、ああいう場面は。アウトになったらもうチャンス潰すわけですから。あそこで行くっていう勇気が三森のファインプレー」。試合後、藤本博史監督もこの勇気ある走塁を激賞した。
終盤、なかなかチャンスを生かせない展開が続いていた。7回には1死から近藤健介外野手が四球で出塁したものの、続く柳田悠岐外野手は三振ゲッツーに終わった。8回にも1死から柳町達外野手が中前安打で出塁。代走に上林誠知外野手を送ったものの、今宮健太内野手が三振ゲッツーに倒れてチャンスを潰した。
8回の場面では周東佑京内野手の代走起用も考えられた。だが、藤本監督ら首脳陣はあえて上林を送った。「平野とか山崎颯はクイックが速い。普通だったらあそこで周東を出すんですけど、オリックスの後ろの投手はクイックが1.1秒台でなかなかスタートを切るのは難しい。エンドランとかいろいろやったんですけど、なかなかうまいこといかなかった」。オリックス救援陣の特徴を考慮した上での用兵がなかなか実らない中で、風穴を開けたのが三森の走塁だった。
三森にとっては6月11日の巨人戦以来のスタメン出場。なかなか出番がない中で、なぜ、首脳陣はこの日スタメンに起用したのか。指揮官は試合後にこう語った。
「今、セカンドは牧原(大)が一番守っているんですけど、牧原(大)はセカンド、センターのレギュラー。誰かがセカンド、センターのポジションを状態を上げて取ってほしい。その中には三森もいるし、野村勇もいるし、上林もいるし、周東もいる。そこをうまく4人で回していこうかなと」
現状でレギュラーが固まっていないポジションが二塁手と中堅手のどちらか。牧原大成内野手がそのどちらかに入るものの、1枠は空いている。三森のほか、周東、野村勇内野手、上林に日替わりで出場機会を与え、その中からチャンスを掴む選手が出てくることを期待しての起用プランだった。
劇的なサヨナラ決着でガッチリと首位の座を守ったソフトバンク。昨日の有原の8回1失点に続き、この日は東浜が7回2失点と好投した。リーグ戦再開後は2連勝となり、投打の歯車も噛み合ってきた。