苦言を呈されたファーム降格から1か月 武田翔太が1軍昇格となった背景と役割

ソフトバンク・武田翔太【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・武田翔太【写真:荒川祐史】

藤本監督「状態は良くも悪くもなく、普通じゃないですか」

 ソフトバンクは7日のDeNA戦(PayPayドーム)から武田翔太投手を出場選手登録した。前日6日に嘉弥真新也投手が出場選手登録を抹消され、中継ぎの代役としての昇格に。藤本博史監督は「中継ぎが登板過多になってるんで、中ロングとかというところで頑張ってもらおうかな、と」と役割のイメージを語った。

 武田は今季2試合に、いずれも先発で登板した。4月21日のロッテ戦で5回途中3失点で敗戦投手となると、5月3日のオリックス戦では2回11安打6失点と炎上。斉藤和巳投手コーチら首脳陣にも苦言を呈され、翌日には2軍落ちとなった。

 その後、2軍でも5月20日の広島戦で6回途中8安打7失点を喫するなど、なかなかピリッとしなかった。右腕の状態ついて問われた指揮官も「状態は良くも悪くもなく、普通じゃないですか」と語る。ただ、嘉弥真が6日に急遽、登録抹消。2軍のオリックス戦での先発直前に昇格を知らされた武田は、1イニングだけ投げて新幹線で福岡へと戻ってきた。ほかにも候補がいる中で、武田が昇格となった背景はどのようなものだったのだろうか。

 この日、斉藤和コーチは「先発で下で調整してもらっていたけど、武田の先発っていうところも今後なかなかチャンスがない可能性もある。ボール自体は悪くないから、それなら監督が中(中継ぎ)で入れてもいいんじゃないかって。試合の状況とかチーム状況も含めて、長いイニングを投げてくれるピッチャーが中にいてくれるのは非常にありがたいから」と語る。

 チーム状況として求めていたのはリリーフの中でも、先発がアクシデントや不調などで早い回で降板した際に、後を受けるロングリリーフができる投手だった。現状の1軍投手陣の中でその役目を担うのは板東湧梧投手、松本晴投手。一時、役割不問で投げていた松本裕樹投手は勝ちパターンに入るようになり、もう少し厚みを持たせたいところだったという。

「ロングリリーフが必要になる条件って正直あんまりないんだけどね」と斉藤和コーチ。開幕から1軍に登録されていた古川侑利投手がなかなか登板機会を得られないなど、ロングリリーフが必要になる試合は多くはない。ただ、ベンチにその役目をこなせる投手は絶対に必要。先発で長いイニングを投げられる武田に白羽の矢が立った。

 突然の昇格はチームのアクシデントによるものだが、武田にとっては名誉挽回のチャンスになる。かつての輝きを取り戻すピッチングを、中継ぎで見せてほしい。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)