他の選手の退団と比較しても「いつもと違う」…モイネロが受け止めた一報
今季も不動のセットアッパーとして君臨するリバン・モイネロ投手が先輩2人への思いを語った。2017年から6年間在籍したアルフレド・デスパイネ外野手と、翌2018年から5年間プレーしたジュリスベル・グラシアル内野手は昨季限りで退団。2月の宮崎キャンプ中には、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のキューバ代表としてホークスとの壮行試合に出場して“最後の姿”をファンに見せた。
WBCでの戦いを終えて、2人はともに今季からキューバの国内リーグに復帰。現役としてそれぞれのキャリアを過ごし、デスパイネには復帰の可能性を伝える報道も出ている。その一方で、同じくWBCに参加したモイネロはホークスの一員としてすでに13試合に登板している。“キューバトリオ”でくくられることも多かった3人。デスパイネとグラシアルの退団を、モイネロはどう受け止めたのか。
「何年も一緒にやってきたチームメート。キューバ人っていうのもあって(他の選手の退団と比較しても)いつもと違うなっていう感覚はあります」
モイネロは2017年5月に育成選手としてホークスに入団した。その時点でデスパイネはバリバリの主力選手。右も左もわからずに来日したモイネロにとっても心強かった。「2人とも手助けをしてくれた。特にデスパイネにはお世話になりました。ロッカーや試合などのチームの活動、球場の外でも交流はあった。思い出はたくさんあります」と懐かしそうに話す。
意外にも? 料理が得意だったデスパイネは、時に手料理をモイネロにも振る舞うなど、グラウンドの外でも面倒を見てきた。日本人打者との対戦においても、打者目線から意見をもらい「各打者の特徴を教えてくれるし、今はこういう反応をしているというのを話してくれていた」という。今の自分自身があるのも、偉大な先輩のおかげだ。
デスパイネもグラシアルもチームへの献身的な姿勢がファンに愛された。「デスパイネからは練習に対する姿勢の部分から学んだ。グラシアルは常に闘志を燃やして、やる気を持って活動していた。彼らは野球以外でも、体の面だったりもケアしていた。チームのためという気持ちも感じられましたし、そういう意味では自分にもいい影響、いい意識を与えてくれました」。モイネロにも宿る“フォア・ザ・チーム”の精神は2人から学んだことだ。
2人の退団は「一番最初はネットニュース、ソーシャルネットワークで知りました」というモイネロ。WBCは準決勝で敗退となり「一緒にプレーしていたんですけど、その後、自分は一度、キューバに帰ってからこっち(日本)にきた。WBCに関して話はしましたけど、日本に来ることに関しては特に会話はなかった」と語る。今は違うユニホームに袖を通し、それぞれが野球を続けている。
ファンにとっても衝撃を与えた2人の退団。モイネロはファンに向けて「今もキューバの国旗とかを出して応援してくれる人がいる。そういう方がいれば『キューバ人の選手がここにいた』って、そういう象徴になると思うので。そういうことは続けていってほしいです」とメッセージを送る。ホークスのために戦った2人の助っ人。その姿はファンの記憶にしっかりと焼き付いている。
(竹村岳 / Gaku Takemura)