一打同点のチャンスでなぜ代打アストゥディーヨ? 首脳陣が語った起用の“根拠”

ソフトバンクのウイリアンス・アストゥディーヨ【写真:藤浦一都】
ソフトバンクのウイリアンス・アストゥディーヨ【写真:藤浦一都】

「いろいろ(選択肢が)あった中でもアストゥディーヨだった」

■西武 1ー0 ソフトバンク(20日・PayPayドーム)

 ベンチの戦力を見極めた上での決断だった。ソフトバンクは20日、本拠地PayPayドームでの西武戦に0-1で敗れた。相手先発の高橋の前に6回無失点と苦戦。9回に2死一、三塁の好機を作り、ベンチは代打にウイリアンス・アストゥディーヨ内野手を送ったものの、結果は初球を打ち上げて二飛。最後の打者となり、連勝は「2」で止まった。

 相手先発の高橋には藤本博史監督も「なかなかいい投手だから。連打はなかなか難しい」と脱帽するしかない。4月8日(ひなたサンマリンスタジアム)でも8回無失点に抑えられた右腕に、この日もゼロを並べられてしまった。7回無死一塁では、野村大樹内野手がベンチからのバントのサインを間違え、バスターを選択して二ゴロ併殺に倒れた。

 ドームのボルテージが上がったのは9回だった。2死から柳町達外野手が四球を選ぶと、続く栗原陵矢外野手が右前打。2死一、三塁とし、守備から途中出場していた佐藤直樹外野手に打席が巡ってきた。ベンチがアストゥディーヨを代打として送ったのはこの場面。クローザーの増田に対して二飛に倒れて敗戦が決まった。

 複数の選択肢がある中で、なぜ、ベンチはアストゥディーヨの代打を選んだのか。鷹フルの単独取材に森浩之ヘッドコーチはこう意図を明かした。

「右の方が打っているんやから、右を出しただけのこと。代打ってそういうもんやんか」

 この日の試合前の時点で、増田は対右打者の被打率.476、対左打者への被打率.310と右打者に打たれているという数字が出ていた。そして、打率.138のアストゥディーヨは右投手に対しての打率は.188。対左投手は打率.077と、右投手の方が打っていた。

 この時点でベンチに残っていたのはアストゥディーヨを含めて5選手。対右投手に限れば、佐藤直樹外野手が打率.125、フレディ・ガルビス内野手が打率.125、嶺井博希捕手が打率.000、谷川原健太捕手は打率.500。増田との相性が良い右打者の中では、アストゥディーヨが最も打率が高かった。

 森ヘッドは「いろいろ(選択肢が)あった中でもアストゥディーヨだった。打たなかっただけのこと。また明日頑張ります」とキッパリと言った。野村大をスタメンで起用すると、右の代打が手薄になる用兵にも「苦しくなんかないよ」と前を向いた。手元にある戦力を見極めて、数字も元に最善の策を打とうとする。その中でベンチがベストと考えたのが「代打アストゥディーヨ」だった。

(竹村岳 / Gaku Takemura)