もう一度、自分自身を見つめ直すために時間を与えた。20日にPayPayドームで行われた投手練習を見守った斎藤学投手コーチが、ファームでの再調整が決まった石川柊太投手について言及。「技術の問題ではなく、気持ちの問題の方が大きい」と切り出した。
石川は今季11試合に登板して3勝3敗、防御率4.53。5月19日の西武戦(PayPayドーム)を最後に白星がなく、6月17日の阪神戦(甲子園)では3回2/3を投げて4失点。2登板連続で5回まで持たず、18日に登録抹消となりファームでの再調整が決まった。斎藤学コーチは「もちろん、打たれていることも事実」と競争の中で、再調整を選択したことも強調する。
斎藤学コーチは以前、石川の投球スタイルと、内容に「自分のペースで投げている時は、すごくいいピッチングができる強みがある」と話していたことがあった。マウンド上での調子の良し悪しがハッキリと内容に出てしまうという課題も含め、どんな部分に不振の原因があったのか。
「ちょっと頭がこんがらがっているというか……。技術の問題ではなくて、ちょっと気持ちの問題の方が大きいように感じるんです。だからちょっとチームから離れて、1人で練習した方がいいんじゃないかというところで抹消になった経緯ですね。いろんな話をしても、自分で『こうしたい』『ああしたい』ができていない」
「できない理由として、いろんなプレッシャーを感じていると思いますけど、これまで受けたことのないプレッシャーに、立ち向かっていっていないというニュアンスの話をしていた。投げるにあたってどの投手も、マウンドに上がるには勇気がいる。立ち向かっていこうとしているのは僕らもよくわかっているんですけど、ちょっとランナーを出したり、点を取られたりすると、引いてしまうという状態が見受けられたので」
首脳陣が要因に挙げたのは、打者に向かっていくことができていないということ。まずは自信を取り戻してもらうためにも、時間を与えたというわけだ。「巨(東浜巨投手)と柊太がいないと、ローテ的にも回らなくなってしまう。なんとか2人には頑張ってほしい。怪我とか故障ではないので、ここは本人が頑張らないといけない」と、再調整となっても、期待する投手の1人であることは変わらない。
大関友久投手が体調不良、藤井皓哉投手が「左内腹斜筋の肉離れ」で離脱中と、先発の頭数に余裕があるわけではない。石川の再調整も「本人にはこの辺をメドに、と伝えてありますけど、それは確定しているわけではない。本人が本当に自信を持ってマウンドに立てるというものが得られるまではと思っていますけど、それでもそんなに時間はない」と、無期限というわけではなさそうだ。
さらに斎藤学コーチは、ファームでの登板予定についても言及。あくまで石川本人の自信が一番重要な要素ではあるが、ファームでの登板を挟まずに1軍に復帰する可能性も示唆した。
「今のところ(ファームでの登板)予定はないですね。気持ちを切り替えてこっちに帰ってこられる、自信を持ってマウンドに立てます、と思えば、わざわざファームで投げる必要はないかなと思っていますけど。これがもし、時間がかかるのであれば、どうしても投げておかないといけないと思いますけど、まだそこまではっきりとはしていないです」
再調整となった選手がファームで実戦登板しないとなれば、それはそれで異例の調整となる。石川本人も首脳陣も、1日も早い復帰という目的は同じ。見失っているものを見つけて、今度こそ胸を張って1軍のマウンドに帰ってくる。