頭部死球で離脱し、シート打撃で実戦形式に復帰した野村大
パワーアップして戻るつもりでいる。ソフトバンクの野村大樹内野手が25日、室内練習場で行われたシート打撃で離脱後初の実戦形式の打席に立った。13日のウエスタン・リーグ広島戦で頭部に死球を受けた影響で数日間、頭痛と吐き気に襲われた。数日間の安静期間を経て、18日からリハビリ組に合流。この日予定されていた4軍戦で実戦復帰する予定だったが、雨天中止となったため、シート打撃で打席に立つことになった。
久々の投手の生きたボールと対峙した野村大は「思ったよりもボールも見えました。ちょっと1打席目は速く見えたんですけど、2~4打席目はよかった。4打席目は打ったんですけど、1~3打席目のアウトも全部芯に当たって、上下のズレだけでした。ストライクゾーンの感覚も全然ズレてはいなかったので、普通に今のまま試合に入っても打てるんじゃないかなって、今日は思いました」と手応えを口にした。
離脱していた間でどれだけ感覚が違っているのか。そんな不安を消してくれたのは、この日に同じく右手薬指の細菌感染症から復帰戦を迎えるはずだった泉圭輔投手だった。1軍経験も豊富な右腕と対戦し「1軍でも投げていらっしゃるピッチャーですし、そういうピッチャーの方の変化球だったり、真っ直ぐの見え方だったりが普段とあまり変わらなかった。その辺はすごく自信になったというか。これを続けていけば順調に復帰できるんじゃないかなと思いました」と自信は深めた。
1軍は“右の代打不足”と言われている。そのポジションを狙う野村大としては死球での離脱は悔しいアクシデントだった。「自分が怪我してなければ、戦力になれていたのかなとか思いながら見ていたら、悔しい思いもありました。1打席にかける思いっていうのは、他の人よりも強い思いを持っている自覚はある。1打席勝負だったら、他の選手には負けないぞっていうところをもっと見せていきたいと思います」。
今季は2軍でスタメン出場もありながら、“代打”として控える機会もある。1軍での起用を想定した小久保裕紀監督ら2軍首脳陣の考えだ。野村大は「代打は“打てないでなんぼ”みたいにみんなは言うんですけど、やっぱり代打って打つために行っている。代打の心構えじゃないですけど、その準備でできることはやって入るようにしてます」と代打という役割を意気に感じ、こだわりを持っている。
選手であれば、スタメンへの思いも当然あるはず。その中で「1軍で代打と言ったら野村(大)だって思ってもらえる方が有利だと思います。去年はコロナもあって、スタメンで出させて頂く機会も多くありましたが、やっぱりその中でも代打でやってきたことが生きる打席がすごく多かった。代打のつもりでじゃないですけど、それに近い感覚で入ることができたら、自ずと結果はついてくるかなと思います」とも感じている。
では、野村大が考える代打として大切なこととはなんなのだろうか。
「振れる球を振るっていうのは、すごく大事だと思います。代打っていいところに3球投げられたら、しんどい部分もあります。その球をいかにファウルにしたり、粘ったりして、ヒットを打てないにしても粘りのある打撃をして、1打席を無駄にしないか。代わる選手もいるわけなので、その選手のためにも絶対打つんだという心構えが大事かなと思います」
リハビリ期間には普段よりも多めにトレーニングに励んだ。この離脱を自分を見つめ直す期間にし「今シーズンこの期間があってよかったなって思えるようにしたいですね」と前を向く。1軍で待ち望まれる“代打の切り札”として、野村大が昇格する日が楽しみだ。
(上杉あずさ / Azusa Uesugi)