泥沼5連敗でBクラス転落 長谷川勇也コーチが語る打線不調の原因と打開策は?

ソフトバンク・長谷川勇也1軍打撃コーチ【写真:竹村岳】
ソフトバンク・長谷川勇也1軍打撃コーチ【写真:竹村岳】

「僕も経験ありますし、バッターが抱えてる悩みはみんな一緒」

■ロッテ 6ー2 ソフトバンク(23日・ZOZOマリン)

 ソフトバンクは23日、敵地ZOZOマリンスタジアムで行われたロッテ戦に2-6で敗れ、5連敗を喫した。前日に首位から陥落すると、この日は藤本博史監督の就任以降、初めてとなるBクラス(4位)に転落。指揮官は「またやり直しましょう」と、試合後の会見を25秒ほどで終え、足早に球場を後にした。

 打線がふるわず、先発投手が踏ん張れない。ここ数試合と同じような展開がまた繰り返された。序盤、ロッテ先発の種市の前に走者を出しながらも得点できずにいると、先発の大関が3回に犠飛で先制点を献上。4回にも平沢の適時打で1点を加えられ、4回で降板となった。打線の反撃もないまま、7回には津森が3ランを被弾。ビハインドは6点に広がった。
 
 ようやく8回に柳田が待望の今季1号2ランを放ったが、時すでに遅し。9回にも2死から3連続四球で満塁となったが、最後は栗原が二直に倒れた。8安打は放ったものの、そのうちの4安打は8回に出たもの。7回までは散発4安打に抑え込まれていた。開幕直後は機能していた打線にブレーキがかかり、投打の歯車が噛み合わなくなっている。

 この打線の状態を長谷川勇也1軍打撃コーチはこう見ている。「ずっと1年間打ち続けるチームはないですし、打てる選手はいない。だからといって、今持ってるものでも十分彼らは勝負できると思うんです」。開幕直後から打線全体が低迷することを危惧していた長谷川コーチが、中軸の不調とともに指摘したのは“巡りの悪さ”だ。

 近藤がここ5試合で打率.118、栗原が打率.200と確かに下降線を描く。ただ、長谷川コーチは「序盤は下位打線でチャンスを作って近藤で返したりとか、下位打線が機能して点が入っているというところだった。近ちゃんと栗だけじゃなくて、下位打線の仕事ぶりがすごくいい循環をもたらしていたので、まあ彼ら2人だけっていうわけではないと思います」とも言う。

 確かに今宮もここ5試合で打率.125、甲斐は6試合連続ノーヒットと下位打線も元気がない。この日、今季初本塁打を含む3安打を放った柳田、5試合連続安打中の牧原大の前後で打線が分断されており、なかなか得点が生まれない状態となっている。

 では、打開策はどこにあるのか。長谷川コーチも「それが分かったら教えてほしいですよね」とは言いつつ、こうも語る。

「開き直ってやるしかないです。本当にやるべきことをやって駄目だったら、しょうがない。結果を出しに行くというより自分のプレーをやることで、後付けとなっていい結果に結びつくと思いますし、それが勝利にも繋がる。打ちたい、勝ちたいっていうのは誰もが思っていますけど、そこに意識を持っていきすぎると、プレッシャーを感じてしまう。それでいい結果が出なかったら、また次に対してのプレッシャーも大きくなってくる」

 5連敗を喫する間、徐々に選手たちに変化を感じてきたという長谷川コーチ。「連敗が続いてくると、どうしても打たないととか、いい結果を出さないと、自分の調子が下向いてきたときには何とかこの打席でヒットを打たないとって思うもの。僕も経験ありますし、バッターが抱えてる悩みはみんな一緒。そういったときに目標のベクトルをちょっと変えていく、自分のやることを集中してやって、そこに結果がついてきてくれればと思ってやってくれたら」。打ちたい、打ちたい、と思えば思うほど、打てなくなるものなのだという。

 この日のロッテ戦でもその感はあった。「立ち上がり、早い回は開き直りの気持ちもあったんですけど、回が進みにつれて、ちょっとずつ自分たちのペースでいけなくなってくると、どうしても重い雰囲気になってきていた」。初回に柳田、栗原が連打を放ったが、2回、3回、4回と重苦しい空気が漂った。援護がない投手陣が我慢しきれず、失点してしまうのも、打線の状態とも無関係ではないだろう。

 長谷川コーチは「そこでもう1個開き直れるように、中盤以降、重い時に気持ちの部分で吹っ切らないと打破できないなと思います」という。打ちたいと思いすぎると、打てなくなるという打撃の奥深さ。25日からはまだ負けていない地元・福岡に戻っての楽天戦。ホークス打線は“開き直って”連敗を脱出できるか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)