知ってほしい選手の影の努力と素顔 西田哲朗広報が見た“3年目の春季キャンプ”

ソフトバンク・西田哲朗広報【写真:竹村岳】
ソフトバンク・西田哲朗広報【写真:竹村岳】

2日に春季キャンプ全日程終了…大補強で増えた露出「今年の方が忙しい」

 ソフトバンクは2日、宮崎市内の生目の杜運動公園で行われていた春季キャンプの全日程を終えた。3年ぶりの優勝を目指すチームは活気に満ちていた。そして、頂点を奪い返したい思いは選手たちを支える裏方さんも同じだ。楽天、ソフトバンクでプレーし、2020年の現役引退後は球団広報として活躍する西田哲朗広報は「忙しいです。ありがたいことに、選手の取材も多かったです」と、この1か月を振り返った。

 チームは近藤健介外野手やロベルト・オスナ投手らを獲得するなど大型補強を行った。ネームバリューのある選手が加入したことで、注目も高まる。昨年のキャンプと比較しても「今年の方が忙しいですね」と駆け回る毎日だった。競争の激しいチームの雰囲気も敏感に感じ取っており「3年連続で優勝を逃すわけにはいかないという思いはあると思います。王会長も言っていた、すごいゲーム差をつけて勝つくらいのプライドを感じます」と代弁した。

 シーズンの中でも特に春季キャンプは野球漬けの1か月となる。西田広報の1日は毎日、午前6時半に起床して始まる。まずは風呂に入り、大好きなサウナにも1度は必ず入る。「汗を流さないと考えることも考えられないと思うので。工藤(前)監督も言っていたんですけど、血流をよくしないと思考的にも動かなくなる」。ひと汗かくルーティンが、広報として過ごす時間にも生きている。

 球場に着けば、真っ白なホワイトボードに媒体ごとの取材案件を書き分ける。テレビ、新聞、雑誌…。選手とコミュニケーションを取りながら、時間を見つけては取材が無事に終わるようにサポートに回っている日々だ。鷹フルでは独自企画「広報撮っておき」を託されており「某社の依頼でね。選手の裏側の撮影もしているので」と笑顔で話した。多忙な毎日は自身の成長を意味している。

 2020年に現役を引退して広報に転身し、今季が3年目。「1年目は見習い、2年目は自分でも考えて、3年目は自分でしっかりやっていく。大事な年かなと思いますね」と位置付ける。昨季は多くの仕事を任されるようにもなり「いろんな人の意見を聞くのも大事ですけど、ある程度、自分で行動するのも大事。自分で判断できるようになってきたと思います」と自己分析した。胸にある思いは、選手の努力も素顔も、全てをファンに届けることだ。

「なかなか見られないところを見てもらうのが僕らの思いでもあるし、見えているところだけで練習しているわけでもないので。裏の部分でどれだけやっているか、プラス、素顔。こういう選手なんだっていうのを見てほしいのもあります。忙しくなっていますけど、いろんな一面を見てもらっているのかなと思いますね」

 2017年オフにトレードで楽天から加入した。2018年から現役を引退する2020年までホークスは3年連続で日本一に輝いた。しかし、広報となってからの2年間は優勝を逃している。「ホークスに来て、選手の時は日本一になっているので、ポジティブにもネガティブにも捉えられるんですけど、広報として優勝の仕事をやってみたいです」。次回は2022年シーズン終盤のデッドヒートの裏側を語る。

(竹村岳 / Gaku Takemura)