千賀滉大、WBC不参加が決定 調整の難しさに配慮…栗山監督が“親心”で決断

固い握手を交わす”せんたくコンビ”【写真:福谷佑介】
固い握手を交わす”せんたくコンビ”【写真:福谷佑介】

メジャー挑戦1年目での投手の調整の難しさなどを栗山監督が考慮

 ソフトバンクからMLBのメッツに移籍した千賀滉大投手が、WBCに出場する野球日本代表「侍ジャパン」に不参加となることが27日、分かった。アメリカラウンドからの参戦の可能性も模索されていたが、メジャー挑戦1年目のシーズンで調整の難しさなどを考慮し、最終的に栗山英樹監督がアメリカラウンドも含め、侍ジャパンに招集しないことを決断した。

 千賀はこのオフ、海外FA権を行使してメジャーリーグのメッツに移籍。長年、胸に抱いていた夢を叶え、今季がメジャー挑戦1年目となる。千賀自身はWBC出場を熱望し、栗山監督にもその熱意を伝えていたという。メッツ側も千賀が参戦する可能性を探っていたが、話し合いを重ねた末に、千賀の移籍1年目と前途ある将来を最優先させたかった栗山監督がメンバーから外すことを選んだ。

 指揮官の決断の背景には投手ならではの調整の難しさがあったようだ。NPBとMLBではボールも違えば、マウンドの傾斜や硬さも違う。メジャー挑戦1年目の投手にとっては新たなチームや異国の地に慣れるだけでなく、そういった環境面にアジャストする必要がある。野手に比べても、投手の調整は難しく、大谷翔平投手や有原航平投手をメジャーに送り出した栗山監督もそれを痛感していた。

 今大会は同じくメジャー1年目となるレッドソックスの吉田正尚外野手がメンバー入りしているが、アジャストの難しさは野手と投手では違うもの。指揮官は千賀の状態なども逐一チェックしていたが、仮にWBCのメンバーに選ばれ、ハイペースで調整した結果、怪我につながり、メジャー1年目に影響を及ぼしてはいけないという“親心”ゆえに不参加となった。

 この日は、昨季まで本拠地としてプレーしたPayPayドームを訪れ、“相棒”の甲斐拓也捕手を相手にブルペンで投球練習を行った。栗山監督の配慮に感謝し「絶対に出たいという気持ちが強かった。僕がそういう気持ちだったのは間違いないです。こんなスーパーチームの一員に入れるなんて人生で一度しかないので。ただ、今回は仕方ないなという感じですね」と語った。“ドリームチーム”に不参加が決まった右腕は、メジャー1年目での活躍に全力投球することになる。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)