球界トップの“空振り奪取力”を誇る左腕 バットに当てさせない投手ランキング

メッツへ移籍した千賀滉大、ソフトバンクのリバン・モイネロ、藤井皓哉(左から)【写真:小池義弘、荒川祐史】
メッツへ移籍した千賀滉大、ソフトバンクのリバン・モイネロ、藤井皓哉(左から)【写真:小池義弘、荒川祐史】

リリーフ陣の中で上位に位置した千賀はさすがの数字に

 惜しくもリーグ優勝を逃した2022年のホークスの戦いを、データで深掘りしてみたい。投手の重要な能力の1つに、相手打者のバットに当てさせない力がある。空振りを奪えれば、打球が前に飛ぶことはなく、ヒットやホームランになることもない。では、ホークスの投手の中で最もバットに当てさせなかった投手は誰なのだろうか。

 セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを参照すると、その中には「Contact%」という指標がある。これは打者がスイングした際にボールにコンタクトした割合を示すもの。投手側から見れば、この率が低い投手ほど「バットに当てさせない」投手ということになる。

 2022年に20イニング以上投げた投手の中で、この「Contact%」で5位だったのが松本裕樹投手。シーズン終盤にセットアッパーの1人として大活躍した右腕は74.4%を記録している。第4位は千賀滉大投手。来季メッツへの移籍が決まったエースは70.3%。先発としては最も良い数字で、パ・リーグ全体で見ても先発ではロッテの佐々木朗希投手に次ぐ低さだった。

 第3位は甲斐野央投手で67.7%。今季は27試合に投げて2勝0敗3ホールド、防御率2.52ながら、制球に苦しむことが多かった。だが、このコンタクト率の低さを見れば、やはり持っているボールの威力は一級品。制球が安定すれば、勝ちパターンの一角を担えるだけの投手になれるだろう。

 第2位はセットアッパーとして大活躍をおさめた藤井皓哉投手だ。真っ直ぐとフォークを軸にして55試合に投げた右腕のContact%は61.5%。10スイングのうち4スイング前後が空振りという高水準を叩き出した。長いイニングを投げるために必然的にコンタクト率が下がる先発に転向する来季、この数字がどこまでの高さになるのか注目だ。

 そして文句なしの1位はリバン・モイネロ投手だった。2022年には“モイネロの攻撃”とまで称されたキューバ人左腕のContact%は驚異の55.9%。打者がスイングしてもその約半分が空振りという異次元の数字が出ている。球界全体で見ても、20イニング以上投げた投手でContact%が60%を切っているのはモイネロだけ。我々は今、とてつもない投手を目の当たりにしているのだ。

 なお、ホークスで2022年、20イニング以上投げた投手の中で最もContact率が高かったのは東浜巨投手で82.3%。続いて椎野新投手の81.0%、泉圭輔投手の80.8%となる。こうした投手はバンバン空振りを取るというよりも、打たせてアウトを奪ったり、ファウルでカウント稼ぐタイプの投手になるだろう。

2022年のContact%ランキング
1位 モイネロ 55.9%
2位 藤井皓哉 61.5%
3位 甲斐野央 67.7%
4位 千賀滉大 70.3%
5位 松本裕樹 74.3%
6位 津森宥紀 74.4%
7位 和田毅 75.5%
8位 嘉弥真新也 76.6%
9位 杉山一樹 77.1%
10位 森唯斗 78.1%

(鷹フル編集部)