2022年、惜しくもリーグ優勝を逃したホークスで貢献度が高かったのはどの選手か。野球を科学的に分析するセイバーメトリクスには、代替可能な選手が出場する場合に比べて、どれだけチームの勝利数を増やしたかを示す「WAR」という指標があり、総合的な選手の貢献度を表す。
貢献度5位だったのは東浜巨投手だ。今季10勝(6敗)をマークし、チームで2人しかしない2桁勝利投手となった。防御率も3.11とまずまずで、WARは1.6だった。規定投球回にこそ届かなかったものの、ほぼ1年間ローテを守って23試合を投げ、先発としての役割を果たす結果だった。
4位は大関友久投手。7月末まで先発ローテの一角を担い、2完封を含む6勝をマーク。8月に左精巣がんの手術を受けて離脱したが、終盤にリリーフで復活した。最終的には7勝(6敗)を挙げ、防御率2.93。6試合分のリリーフ貢献も含めたものにはなるが、WARは1.7だった。
東浜と大関を上回り、先発で3番目の貢献度を示したのが石川柊太投手。23試合に先発し、大関と同じ7勝(10敗)。東浜の10勝よりも勝ち星が少なく、3つの負け越しを作った。防御率も3.37と2人よりも低いが、WARは2.5と高くなった。
今季の石川は四球数が57個と多くなったものの、106奪三振はチームで2番目。被本塁打も東浜の14本に対して、9本と少なく、守備から切り離された防御率とされる「tRA」でも3.71と、大関と並びチーム3位タイだった。四球によって崩れた試合も散見されたため、印象は良くないが、指標で見た貢献度は高い。
そして貢献度2位は、41歳の大ベテランである和田毅投手だ。年齢も考慮されて登板間隔を空け、さらには6回前後と託されたイニングが短く、17試合登板で81投球回にとどまったが、WARは3.0となった。和田は20%を超える奪三振率を誇り、今季は被本塁打もわずか3本。7勝を挙げたこともさることながら、その投球内容における貢献度は非常に高かったことが分かる。
堂々の1位は千賀滉大投手。WARは4.9とチームで群を抜いており、まさにエースに相応しい投球だった。規定投球回に乗る144イニングを投げ、チームトップの156奪三振。7被本塁打にとどめており、高い貢献度を誇った。パ・リーグ全体でも千賀のWARを上回ったのはオリックスの山本由伸投手、ロッテの佐々木朗希投手しかいない。
千賀は来季メジャーリーグのメッツへ移籍することが決まり、ホークスはエースの穴を埋めなければならなくなる。今季のWARで見ると、千賀は代替可能選手と比べて約5勝、白星を増やしたことになる。この5勝分をどうやって来季、他の投手たちで補っていくかが課題になる。
今季の先発貢献度トップ5
1位 千賀滉大 4.9
2位 和田毅 3.0
3位 石川柊太 2.5
4位 大関友久 1.7(リリーフ分含む)
5位 東浜巨 1.6