高校時代は「生きて帰るのに必死」 大学で急成長…ドラ6吉田賢吾が目指す“甲斐超え”

ソフトバンク6位指名の吉田賢吾【写真:福谷佑介】
ソフトバンク6位指名の吉田賢吾【写真:福谷佑介】

大学時代は毎朝6時半から全体練習前に自主練習するのが日課

 12月5日に行われた新入団発表会見で、プロ野球選手として節目の時を迎えたソフトバンクのルーキーたち。今秋のドラフト会議で指名された支配下6選手、育成14選手が、初めてホークスのユニホームに袖を通した。その席で「3割30本100打点」の壮大な目標を掲げたのが、ドラフト6位の吉田賢吾捕手(桐蔭横浜大)だった。

 どのチームにとっても、喉から手が出るほど欲しい「打てる捕手」としての期待が大きい吉田。横浜商大高では高校通算15本塁打を放ったものの、桐蔭横浜大でその素質が注目されるようになったのは大学3年生になってからだった。3年春までは公式戦0本塁打。だが、3年秋からの3シーズンで一気に15本まで本塁打を積み上げた。

 なぜ急成長を遂げられたのか。吉田はこう語る。「胸を張って練習やってきたという自信もありますが、同級生に平野(翔)という練習量がすごい選手がいて、その子と練習して成長できた」。1年生の頃から、午前6時半にグラウンドへ行き、全体練習前に自主練習を行うのが日課に。試合がある日には、まだ夜が明ける前の午前2時40分にグラウンドに行って練習することもあった。

 人生の転機に挙げるのは、横浜商大高への進学。「野球の技術面だけではなく、人間的に成長できた。横浜商大高に進んでいなかったらどうなっていたんだろうと思います」。高校時代は理不尽だと思うことの連続だったという。練習をやり直したり、遠征先から徒歩で帰ったり、「ホームルームからやり直し」をさせられたこともある。

「ランニングメニューもしんどくて、あまり野球をやった覚えがなかった。生きて帰るのに必死なくらい厳しい3年間でしたが、大学に入ってからその経験が本当にありがたかったと気づかされました。そういったところで人間的なものを磨かせていただいた。それが今はとても生きています。当時は『ふざけんな』と思っていましたけど……」

 自身のことを「とにかく明るく前向きな性格」と語る。大学時代はキャプテンも務め「何かを周りに指摘するからには自分が一番やらなきゃいけないと思う。一番やっていない人には誰もついていかないと思うので、何かをやるには常に一番を目指してやってきた」と言う。

 西武の岡田雅利捕手は親戚にあたり、大学の先輩には西武の渡部健人内野手や巨人の菊池大稀投手もいる。目指すは「打てる捕手」として結果を残し、正捕手の甲斐拓也捕手を追い抜くこと。努力とキャプテンシーを持つ21歳が、正捕手争いに挑戦する。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)