松田宣浩が命名「ミッシー」 2年目迎える育成選手が“熱男”の後継者に名乗り

ソフトバンク・三代祥貴【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・三代祥貴【写真:上杉あずさ】

元々の売りは「リチャード級の打球の強さ」だったが…

“熱男”の後継者に名乗りを上げる若鷹がいる。2021年育成ドラフト12巡目で大分商から入団した三代祥貴内野手。身体能力とパワーを兼ね備えた大型三塁手で、守備センスも良く、脚力もある。将来が楽しみなポテンシャル高き育成選手だ。大分商時代はキャプテンで4番を務めるなどチームを引っ張り、元気も持ち合わせる。

 1年目の今季は、3軍戦にルーキー野手で最も多い98試合に出場した。シーズンを通して329打席に立ち、打率.265と1年目にしてはまずまずの成績を収めた。3軍ながら“最多安打”となる77安打を放ち、そのうち21本が長打。長打数も3軍ではトップの数字だった。「自分的にはまだ満足してないですけど、コーチ陣から1年目にしてはだいぶいい成績を残せていると言ってもらえたので、そこは1年目のよかったところかなと思います」と謙虚に振り返る。

 元々の売りは、スカウトが「リチャード級の打球の強さ」と評していたほどのパワーと長打力だったが、プロに入り考え方が徐々に変わってきた。「長打力ってなると、ホークスはパワー自慢の人がたくさんいるので、パワーで勝負するよりは、打点を稼ぐことがチームの勝利につながると思うので、自分が武器にしていきたいのは『チャンスに強い打撃』です。自分が打てば勝てるみたいな場面が好きなので、そういう時は燃えています」と“勝負強さ”を売りにする。

 そんな三代がプロの世界に入って、大きく感銘を受けたのは、松田宣浩選手との出会いだった。初めてのキャンプですぐに松田と共にノックを受け、イジられ「ミッシー」とのニックネームも付けられた。「本当にテレビのまんまの人だなと思いました。テレビだけだと裏の顔とか分からないですけど、本当にそのままで。野球人として尊敬されるべき人だなと。野球する人の、あるべき姿が松田さんだと思いました」と心底憧れを抱いた。

 自身も本職は三塁手。ホットコーナーとして目指すべき姿を1年目から目の当たりにできたのは大きな財産となった。松田からも「良い元気あるよ」と声を掛けてもらい、それも励みになっている。他にも送球のことや技術面でもアドバイスを求めるなど、限られた時間で松田から多くのことを学んだ。

「自分の持ち味、松田さんから受け継いだ元気を活かしつつ、小久保監督にもアピールして、来年は2軍での出場が増えるように、この冬の自分の課題と向き合いたいと思います。来年も成長できたと思えるシーズンになるように頑張りたいと思います」と意気込む。圧倒的存在だった松田の“後釜”と誰もが認める存在になるのは並大抵のことではないが、“熱男魂”を胸にアピールしていく覚悟だ。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)