現在はホークスジュニアに選出された長男・一冴くんの活動も全力でサポート
今季限りでソフトバンクを退団し、他球団での現役続行を目指している松田宣浩内野手。17年間在籍したホークスでのラストマッチとなった10月1日のウエスタン・リーグの中日戦(タマスタ筑後)から約1か月が経った。“熱男”が鷹フルの単独インタビューに答え、球団からの本拠地PayPayドームでのセレモニーの打診を断り、タマスタ筑後の最終戦を選んだ理由などを語り明かした。
10月1日にタマスタ筑後で行われた中日戦。多くのファンがファーム施設に駆けつける中で、17年間在籍したホークスでのラストマッチを終えた松田。セレモニーでは王貞治球団会長、工藤公康前監督も花束贈呈に駆けつけ、松田は堪えきれず、大粒の涙を流した。
松田は2007年のプロ入りから17年間、チームを支えてきた功労者。球団は退団にあたり、松田に対して本拠地PayPayドームでのセレモニー開催を打診したものの、松田が固辞した。その理由について「僕個人のことで、筑後で決まっていた予定をドームに変えるっていうことも申し訳なかったし、現状2軍の選手だったから、2軍のグラウンドで終わるのが一番ベストかなと思った」と明かした。
引退ではなく現役続行を希望して、自ら退団するという道を選んだ。しかも、その時は1軍に出場選手登録されていたわけではなく、2軍でラストマッチを迎えるべきだと考えた。だからこそ「10月1日をドームにするっていうことに関しては全く考えてなかった。すぐにお断りしました」と胸中を明かした。
最終戦を終えてからは、来季に向けたトレーニングを行うとともに、12月末に開催される「NPB12球団ジュニアトーナメント」に出場するホークスジュニア16人に選ばれた長男・一冴くんの活動も支えている。週末はホークスジュニアの活動に父親として参加し、息子の奮闘を見守る日々を送っているという。
「このタイミングで僕はホークスのユニホームを脱ぎ、一冴はホークスのユニホームを着てプレーする。9月から始動して、12月までの4か月間は大事な4か月。たまたまこうやって僕も時間が取れる。土日はずっと一冴のために空けています」。ホークスジュニアの遠征にも同行してサポートする。野球に熱中する息子の姿に「めちゃくちゃ刺激にもなりますし、一緒に高みを目指して頑張っていきたいと思います」と刺激にしている。
ホークス退団という決断によって、計らずも生まれた家族と過ごす時間。「(現役を)辞めたらこういう時間はあると思うんですけど、辞めていないのにこういう時間をもらえた。これはプラスに変えないといけないなと思っています。みんなに還元するというか、引きこもりにはなるんじゃなくて、いろんなところに野球を見に行ったりとかもしていきたいなと思っています」。来季、新天地でのプレーに向けて、この時間もプラスに変えようとしている。
17年間、過ごしたホークスでの日々。支えてくれたホークスファンに対しての思いを忘れることはない。「17年間本当に本当に長い間、プレーさせてもらって感謝の気持ちしかない。一生懸命野球やってよかったと思うし、本当にいい思い出がたくさんできたのでよかったと思います」。まだまだ尽きない野球への情熱。“熱男”は次なるステージへ向けて、力をみなぎらせている。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)