25日に本拠地PayPayドームで行われたロッテ戦に10-0と大勝し、優勝へのマジックを「5」に減らしたソフトバンク。この一戦で勝利への道筋をつけたのは、エース右腕の千賀滉大投手だった。
初回をわずか8球で3者凡退に仕留め、完璧な立ち上がり。「本当に自分のやるべきことだけを思ってマウンドに上がったので、変な力みとかもなく普通に入れたかなと思います」。3回には2つの四球と安打で満塁とされたものの、動じることなく、安田をフォークで二飛に打ち取ってピンチを脱した。
その後も毎回のように走者を出し、4回、6回は先頭打者を出塁させた。それでも6回まで5安打無失点降板。藤本博史監督が「中5日になるか中6日になるか分からないけど、次の登板があるんで、もう100球超えたところでやめようということで、もう最初から決めていた」と明かしたように、次回登板を考慮されて6回、106球で降板となったが、指揮官も「さすがエースだなと思います」と絶賛する好投だった。
リーグ優勝に向けて負けの許されない戦いが続く。どの試合でも負けられないが、エースの投げる試合はチームとして“絶対に”負けられない。そんな緊張感の中にあって、千賀は落ち着き払っていた。「感情って作るものじゃない。勝手に出るものなんで。ずっと冷静が今日の感情だったかなと思います」。熱くなり過ぎることなく、淡々と1つ1つアウトを積み重ねることに集中した。
そう思える理由もある。6試合を残してマジックは5。2位オリックスは残り試合も少なく、相手の負けは計算できないが、自分達が勝ち続ければ、自力で優勝に手が届く。だからこそ千賀は「本当に自分らが勝つしか方法はないんで。相手がどうこうとかもそんなにないですし、とにかく僕らが勝てばいいっていうだけ」とキッパリと言い切る。
“一戦必勝”はこれまで戦ってきた試合と同じ。だからこそ普段通りに戦うことが大事になる。「それだったら普段からやることは変わらない。相手が負けてくれないと無理とかそういう状況じゃないので。勝つために一生懸命やるのは変わらないんで、そんなにメンタルは変わらないんじゃないかなと僕は思います」。ヒリヒリとした大接戦の中で、千賀のメンタルは揺るがない。
10月1日の西武戦(ベルーナD)ないし同2日のロッテ戦(ZOZO)でレギュラーシーズン最後の先発登板が控える。優勝のかかる大一番となる可能性もあるが、「だから勝たないといけない、それしか思わない。変わらないですね」と笑い飛ばす。2年ぶりのリーグ制覇へ。エース千賀にはまだ果たすべき仕事が残されている。