2日に本拠地PayPayドームで行われた首位・西武との首位攻防戦初戦で貴重な先制弾となる4号ソロを放ったソフトバンクの今宮健太内野手。主力選手がコロナで離脱した間、チームリーダーとして若手選手をけん引してきた今宮が語る「優勝できるチーム」とは……。
ソフトバンク・東浜巨投手、西武・松本航投手の両先発が息詰まる投手戦を展開したこの試合。先制点は5回に今宮のバットから生まれた。フルカウントからのやや低めのストレートを振り抜くと、打球はレフトスタンドで大きく弾む4号ソロ。この1点は、チームにとって31イニングぶりの得点となった。
今宮は「ロッテとの3試合はああいう形になったが終わった。チームの中でも、それはそれとして、今日から一戦一戦を意識してやっていた。キャプテン(柳田悠岐)も帰ってきて、チームがより一層一丸となってやっていたところはあった」と、自らのことは差し置いて“チーム一丸”の勝利を強調した。
首位だった西武に勝ち、勝率の差で首位に浮上しても「今日勝ったからいいというわけではなく、これからどれだけ勝てるかで優勝は決まってくる」と浮かれることはない。離脱者が続出する中で、1番、5番と目まぐるしく変わった役割について「いろいろな打順を打つことはあるけど、自分が塁に出ることが一番。そしてチャンスで回ってきたらランナーを帰すこと。どういう打順であってもやることは変わらない」と語る。
主力選手が離脱して、若手中心のスタメンでどうにか戦ってきたが、それを牽引してきたのは経験値の高い今宮だった。「若い選手たちがハッスルしてくれたからこそ、7連戦も持ちこたえられた。若い選手は試合に出るチャンスだったので、そこだけに集中してやってくれていた。(若手の活躍で)チームとしてもどんどんレベルが上がっていくので助かったところもある」と若鷹たちの奮闘を称えた。
残りも25試合。「若い選手がそこ(優勝)を意識してプレーする必要はない。僕らのように経験した人間が背負っていかないといけない。若い選手は目の前の1試合、目の前の1球に集中して、自分が持っているものを出しきってくれたらいい。僕自身もそうだったし、好きなように、自由にやればいい」。若手選手にはプレッシャーを感じることなくノビノビとプレーしてもらいたい。リーグ優勝には経験ある選手たちが責を負う。
プロ13年目のシーズンも終盤を迎えて今宮身体はすでに満身創痍の状態。「ここまできたら『痛い』『かゆい』とは言っていられないし、『きつい』とも言っていられない。どこのチームだって『きつい』と思うし、そこを乗り越えられたチームが優勝すると思う。もう『やるか、やるか』しかないので頑張ります」。何度もリーグ優勝と日本一を経験してきただけに、今宮をはじめとする中堅、ベテランが“最後の最後の踏ん張り方”を知っていることは強みだといえる。
この日の2安打で打率.299。自身初のシーズン打率3割到達も現実味を帯びてきている中で、今宮は「それは関係ない。シーズンが終わって結果がどうなのかというところなので意識はしていないし、とにかく自分のスタイルを貫きたい」。個人のことは関係ない。とにかくチームが優勝するために。今宮は力を振り絞る。