29日に京セラドームで行われた「鷹の祭典2022 in 大阪」ロッテ戦で2-3の逆転負けを喫したソフトバンク。プロ初先発となった奥村政稔投手が5回1失点と好投し、中盤までリードを奪っていながら、6回、7回で試合をひっくり返され、もったいない1敗となった。
初回に高部にソロを浴びた奥村だったが、その裏に味方が逆転すると、2回以降はロッテ打線を抑えた。709日ぶりの1軍登板だったものの、カーブやフォークといった変化球を効果的に織り交ぜて得点を許さず。4回には2死一、三塁と一打同点のピンチを招いたものの、安田を二ゴロに打ち取った。5回を1失点にまとめ、勝利投手の権利を手にしてリリーフ陣にバトンを渡した。
だが、6回に甲斐野央投手が3本の安打を集中されて同点とされ、奥村のプロ初勝利の権利が消滅。7回には津森宥紀投手が2死二塁から荻野に前進守備を敷いていた右翼の頭上を破られる適時三塁打を打たれて勝ち越された。ただ、中盤の逆転の流れは5回の攻撃で生まれていた。
先頭の正木智也外野手が四球で出塁すると、フレディ・ガルビス内野手が右前安打で続き、無死一、三塁と追加点のチャンスを作った。甲斐拓也捕手の打席で初球、ベンチはセーフティスクイズを選択。ストライクゾーンへの144キロの真っ直ぐだったが、甲斐のバントは一塁線へファウルとなった。「2回連続はなかなか出せない」と強攻策に出た2球目は三塁正面のゴロとなり、三塁走者がホームでタッチアウトになった。
1死一、二塁と得点圏のチャンスは続いたものの、痛いプレーが続く。今宮健太内野手への5球目がワンバウンドとなり、捕手がボールを見失う間に、ガルビスが三塁を狙った。ただ、スタートが遅く、憤死。2死一塁とチャンスはしぼみ、今宮も遊ゴロ凡退。追加点を奪うビッグチャンスが無得点に終わり、漂った嫌な流れに、そのまま飲み込まれた。
野球とは“流れ”のスポーツと言われる。ピンチの後にチャンスあり。チャンスを逃した後には、えてしてピンチがやってくるもの。どこかでミスをすれば、相手に流れが渡り、相手のミスで自分たちに流れが転がり込んでくる。移り気な“勝利の女神”は流れを掴み損ねたチームにそっぽを向く。
藤本博史監督も試合後に「(奥村には)なんとか勝ちをつけてあげたかったけど、5回の攻撃で流れが変わったね」と、5回の拙攻を勝負のポイントに挙げた。セーフティスクイズに失敗した甲斐に「1回目で決めてほしいよね、ストライクだったらね」と求め、憤死したガルビスにも「自分の足とも相談してもらいたいよね。完璧にアウトやからね」と苦言が口を突いていた。
とはいえ、主力が大量に離脱している中で7連戦を4勝3敗で乗り切った。若手たちの奮闘もあり、指揮官も「このメンバーで良くやってると思うよ。五分で十分だと思っていたからね」とも言う。ここからは9試合連続で本拠地・福岡での試合が続く。主力が戻ってくるまで、あと少し。もうしばらくは現有戦力で耐えていくしかない。