柳田悠岐も「男前」と大絶賛 板東湧梧が示した投手のコントロールの大事さ

ソフトバンク・板東湧梧【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・板東湧梧【写真:藤浦一都】

藤本監督も称賛「ストライク先行してくれて、本当にいいピッチング」

 19日の日本ハム戦で7-2と快勝し、首位・西武との差を1.5ゲームに縮めたソフトバンク。この試合でチームを救ったのが、750日ぶりの先発マウンドに上がり、6回途中無失点で約2年ぶりの白星をマークした板東湧梧投手だった。

「緊張したんすけど、入りで自分でいい球投げられて、今日はいけるぞと思って、開き直って投げました」と振り返る板東。初回を3者凡退に封じると、3回まで1人の走者も許さない完全投球。4回に死球とこの日浴びた唯一のヒットで1死一、二塁のピンチを背負ったが、今川、近藤を打ち取って無失点。6回2死走者なしで降板するまでスコアボードにゼロを並べた。

 2018年のドラフト4位でプロ入りした板東にとって740日ぶりの通算3勝目。先発として掴んだ初の白星で、お立ち台では「やっぱり嬉しいですね」と表情を綻ばせた。プロ初先発だった2020年7月30日の西武戦は5回途中5失点。「先発でいいピッチングできてなかったイメージがあったんで、乗り越えられたというか、成長したなって、あの時の自分とは違うんだなっていうのが感じられた」とも語っていた。

 この日の板東の投球は、改めてコントロールが投手にとってどれほど重要か、を示していた。真っ直ぐにカーブ、フォーク、カットボールを織り交ぜ、ストライクを取るのに苦労している様子はなし。ほとんどの打者相手にストライクを先行させ、しっかり捕手の構え通りにコーナーへの投げ分けもできていた。

 真っ直ぐは150キロ前後、110キロ前後のカーブとは40キロほどの緩急があった。ここに140キロ前後のカットボールとフォークが加わり、そのどれもでストライクが取れた。制球が良いからこそ、打者の意識も際どいところへ向く。そうなると、稀に甘く入ったとしても打者は打ち損じる可能性が高くなる。そんな投球だった。

 藤本監督も「やっぱりコントロールミスってのが一番怖いんですよ。それが今日の板東はなかったかなと思います。ストライク先行してくれて、本当にいいピッチングをしてくれましたね」と賛辞を惜しまなかった。死球こそ1個与えたものの、四球はなし。6回途中まで74球でまとめたのも、制球力の賜物だった。

 投手が制球良く、テンポよくアウトを重ねれば、打線にもいい影響を与えるというもの。この日4安打を放った柳田がお立ち台で板東を「男前」と称えたのも、そのイケメンぶりだけでなく、投球内容も無関係ではないだろう。待望の先発初勝利を挙げた板東。勝負の終盤戦で、貴重な先発ローテ候補が現れた。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)