ファームで要注目の育成14位ルーキー仲田慶介 プロ初本塁打にもブレない信念

ソフトバンク・仲田慶介【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・仲田慶介【写真:藤浦一都】

11日の2軍・中日戦で公式戦初となる本塁打を放った仲田

 小さな身体で放った大きな一発だった。11日にタマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグの中日戦。ソフトバンクの育成14位ルーキー仲田慶介外野手が、公式戦初の本塁打をマークした。

 16点の大量リードで迎えた8回。代走から途中出場していた仲田は、先頭打者として左打席に入った。仲田にとってはこの日最初で唯一の打席だった。中日の3番手・マルクの2球目のスライダーを振り抜くと、ぐんぐんと飛距離を伸ばした打球は右翼のフェンスを越えていった。嬉しいプロ初アーチだった。

「今日の打席は、本当に1打席のチャンスだったんで、少ないチャンスでしっかり結果を残そうと、いつも以上に集中して打席に入りました。その結果、一番いい結果になったのですごい良かったです」

 この日与えられた唯一の打席で最高の結果を残してみせた仲田。ただ、そこは己を客観的に見ることができるだけに色気は出さない。「本当たまたまっていうか、センターにコンパクトに、センターに強く低い打球を打つっていうのを心がけているんで、コンパクトに振った結果がたまたまホームランになった。なので、今日の一発は忘れて、また今まで通りコンパクトなスイングで、率を残せるようなバッティングをしたいと思ってます」と冷静だった。

 福岡大時代まではバットを長く持ち、長打を狙うこともあったという仲田だが、現在は拳一つ分バットを短く持つ。ドラフトで指名されてから「飛距離では勝負できないので、確実性をとにかく磨いていこう」と取り組んだ。プロの世界で生き残るためにどうすべきかを考え、行き着いた思考。だからこそ、本塁打が出た嬉しさはあっても、ブレることは一切ない。

 追い込まれてからの粘っこさも仲田の持ち味ではある。ただ「元々、追い込まれてからが得意だったんですけど、レベルの高いピッチャーと対戦するようになって、追い込まれてからの対応ができていない部分があるので、そこはすごく課題としてやっているところです」と語るように、大学から3軍、2軍とステップアップしていく中で難しさも感じている。追い込まれるまでは、狙った球を一発で捉える意識を持ち、追い込まれてからはファウルで粘って四球も狙える“嫌らしい”打者を目指す。まさに、仲田が子どもの頃から憧れてきた中村晃外野手そのものだ。

「中学の頃から中村晃さんに憧れていて、バッティングフォームを真似していました」。腰痛でリハビリ中だった中村晃が3軍の試合に出場した際に話をする機会があった。その時のことを「いろいろ質問もさせてもらいました。打席に入る前の準備がすごくしっかりされていたので勉強させてもらいました」と振り返り、目を輝かせる。「中学時代から憧れていました」と本人に“告白”し「頑張れと言ってもらいました」と笑う。憧れの先輩にも刺激を受けた仲田。いまファームでホットな存在の1人だ。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)