「2人の分まで頑張らないと」 鷹・中村晃が背負う栗原陵矢と上林誠知の思い

ソフトバンク・中村晃【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・中村晃【写真:藤浦一都】

自身も2019年に自律神経失調症で苦しんだ経験が…

 27日の広島戦で貴重な先制タイムリーを放ったソフトバンクの中村晃外野手。初回1死満塁のチャンスで左前へと打球を運び、幸先よく先制点を呼んだ。「頭に全部入ってます。全部、勝手にプレッシャーになった。良かったですね」。初回いきなり3点を奪う先制劇の口火を切り、ホッと胸を撫で下ろした。

 中村晃が口にした“プレッシャー”は前日のDeNA戦にあった。初回、野村勇内野手のソロ本塁打で先制し、さらに1死満塁のチャンスを作りながらも追加点を奪えなかった。2回以降はゼロ行進。得点を奪えないままにチームは敗れた。中村晃の脳裏にも当然、前日のことがよぎった。同じ満塁のチャンス。得点を奪えたことで安堵の言葉に繋がった。

 今季はここまで46試合に出場し、打率.278、1本塁打20打点の成績を残す中村晃。ここまでの2か月を「良くはないですけど、悪くもないですね」と評すると、ポツリとこうもらした。「試合に出られているんで。試合に出られているというのは良いと思います」。と喜び、感謝を繰り返した。

 中村晃は2019年、自律神経失調症と診断され、一時は自宅療養を余儀なくされた。復帰後も1軍と2軍を行き来し、わずか44試合の出場に。2020年も故障に悩まされ、試合に出場できない苦しみを味わった。だからこそ、試合に出られる日常を誰よりも実感している。

「栗とか誠知のことを見ていたら、野球ができるのはありがたい」