柳田悠岐は「全部打ちにいく」 覚醒の気配…秋広優人が続けた猛練習と一流に通ずる思考

  • 記者:福谷佑介
    2026.03.02
  • 1軍
本塁打を放った秋広優人(中央)【写真:竹村岳】
本塁打を放った秋広優人(中央)【写真:竹村岳】

「この人がこれだけやるんだからっていう気持ちになります」

 オフからの取り組みが、着実に体に染み付き始めている証明だった。「結構強めにスイングして、いいところに当たってくれたので。打った瞬間にいったと思いました」。驚愕の一打を放った秋広優人内野手も納得の表情を浮かべた。

 3月1日、今年初のオープン戦となった西武戦(アイビースタジアム)。「5番・左翼」でスタメン出場した秋広が快音を響かせたのは、4点ビハインドで迎えた5回の打席だった。相手左腕の甘く入ってきた真っすぐを捉えると、打球は右翼芝生席をはるかに超えていった。驚愕の場外弾に球場は騒然となった。

「飛距離もそうですけど、角度っていうところで、なかなか去年までにはなかったような感覚ではあるので。練習でやってきたことが出始めているかなと思います」

 1か月に及んだ宮崎での春季キャンプ。日も傾くグラウンドでの「ある光景」が、秋広の日常になっていた。過酷な練習で体と技を磨いた日々。さらには柳田悠岐外野手や山川穂高内野手、巨人の坂本勇人内野手に共通する“打席での心構え”も携えていた。

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続きの内容は

山川穂高と2人きり。夕暮れの球場で恒例となった「ある光景」
柳田、山川、坂本…3人が口を揃えた「打席での意識」
「受け身」だった過去と決別。秋広が明かす今季の姿勢

 連日、日が傾き始めたグラウンドに2人の人影があった。秋広と山川だ。全体練習、そして個別の特打や特守も終わった後のこと。誰もいなくなったグラウンドには必ずカーブマシンとパイプ椅子が出されていた。1人、また1人と選手が球場を後にする中、2人は音楽を流しながら、代わる代わる快音を響かせて続けた。

日が傾くグラウンド…設置される「カーブマシン」

「(カーブマシンを打つのは)タイミングっていう狙いもありますし、カーブなんで、普通に打てばホームランになる球。いかにミスショットなく、しっかり体を使って振るかということ。あとは無心じゃないですけど、無理に何かを意識することなく振るというふうに山川さんは言ってました」

 10分、20分…。時計の針は着々と進んでいく。1時間経っても2人の時間は終わらない。時に黙々と、そして時に2人で言葉を交わしながら、次々にスタンドに打球を放り込んでいっていた。

「あそこまでの量(を振った経験)はないです。自主トレから結構振り込んできたんで、キャンプでもそれを落とさないようにと。1年間通して練習し続ける体力を作ってきたので、充実した練習ができました。一緒に打ってる選手が山川さんなので、『この人がこれだけやるんだから』という気持ちになりますし、本当にいいお手本として一緒に練習させてもらっているなと思います」

 山川は毎日、朝7時過ぎには球場に入って体を動かし始め、半日近く球場にいたこともあった。練習量の多さと時間の長さで知られる山川と共にバットを振り続けてきた秋広。その成果は結果になって現れ始めている。

ナインに出迎えられる秋広優人(右)【写真:竹村岳】
ナインに出迎えられる秋広優人(右)【写真:竹村岳】

山川、柳田、坂本…学んだ一流打者の心構え

 巨人時代から大器として期待されてきた秋広。なかなか結果が出せなかった自身の反省もあって、打席での意識もこれまでとは一新させている。

「基本、全部打ちに行くような感覚でいます。全部打ちに行って、ボールだったらやめる。いい見逃し方ができているのかなと思います。これまでは結構、受けている打席があったので。どうしても見よう見ようとして差されたり、振り遅れたりしていたので」

 ヒントをもらったのは山川や柳田、そして1月の自主トレに参加させてもらった巨人の坂本といった球界を代表する打者たち。それぞれに打席での意識を聞くと、図らずも全員から同じ考えが返ってきた。

「山川さんとかギータさん、勇人さんもですし、基本的にいいバッターは『全部打ちにいく』と言っていたので。そういうところを参考にしてやらせてもらっています」

 打席で“受け身”になるところがあった過去の自分とは決別。積極的に全てのボールを打ちにいく中で、打つべきボールと止まるべきボールを瞬時に反応する。一流打者の考えを参考にして打席に立っているという。

「去年までは結果を意識しすぎて、自主トレやキャンプで積み重ねてきたことをすぐ崩しててしまっていた、今年は結果というよりも、今までやってきたことを継続して、試合でできるような意識でやっていきたいと思います」

 心も体もより一層逞しくなった秋広。今シーズンこそは――。大輪の花を咲かせるまで、己の信念を貫き通す。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)