上沢直之が口にした「納得いかない」 キャンプ初実戦で感じた“コンマ数秒”のズレ

上沢直之(左)と谷川原健太【写真:栗木一考】
上沢直之(左)と谷川原健太【写真:栗木一考】

20日の紅白戦で1回無失点「怪我なく投げられたことが良かった」

 春の暖かな日差しが降り注ぐ宮崎キャンプで開幕投手の筆頭候補が動き出した。宮崎春季キャンプ第5クール2日目の20日、上沢直之投手が今春初の実戦となる紅白戦に登板し、1イニングを無失点に抑えた。数字だけを見れば上々の滑り出し。ただ、登板を終えた本人の口を突いたのは「納得いくレベルではない」との厳しい評価だった。

 先頭の柳田悠岐外野手に左前打を許したものの、柳町達外野手を一ゴロ併殺打に切ってとった。続くジーター・ダウンズ内野手に安打、正木智也外野手に四球を与えて再び走者を背負ったものの、最後は秋広優人外野手を左飛に仕留めた。最速は146キロだった。

「ストレートとフォーク、ほぼ2球種でなるべくストライクを取る」ことをテーマに掲げて臨んだ初の実戦。「まずは怪我なく投げられたということがまず良かったと思いますし、それでいいかなと思います」と振り返りつつ、「納得いくレベルかって言われたら、そんなことはない」。プロならではの繊細な感覚で、自身の投球フォームにあるズレを感じ取っていた。

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続きの内容は

1回無失点でも不満顔?上沢が投球映像で気付いた「ズレ」の正体
納得いかないのに焦りなし。打者の反応から得た「ある確信」とは
意図的な体重増の影響は?新ボディで探す「今年の正解」とは

 キャンプ初の実戦登板で、まだまだこれから状態を上げていく段階。その中で、本人が感じていた違和感の正体は「距離が取れていない」という言葉で言い表されていた。

「腕を振るまでの加速の距離がちょっと取れていない感じがする。しっかり長いテークバックで投げたいなというのはある」

 投球する際の並進運動と、その間のテークバックの距離にある、コンマ何秒かの時間。登板後にすぐさまセンターカメラのアングルで投球映像を確認し、「去年と違うなというのはなんとなくわかったので、そこはまた明日から練習で意識しながらやれたらいいなと思います」という。

 自身の中で、納得のいかない内容になったとはいえ、焦りや不安があるわけではない。

「(打者を見ていると)僕が投げたいボール、理想とするボールのリアクションではなかった。僕が感覚的にめちゃくちゃいいと感じている中で、そういうリアクションだったらちょっと困るんですけど、そこは僕の感覚と打者の反応は合っているので。正直、毎年春先は結構悩むタイプで、『なんかまた春が来たな』という感じがありますね」

 現状を受け止め、課題を口にする姿は淡々としたものだった。

 意図的に体重を増やし、出力アップを狙って過ごしてきた今オフ。

「体も変わって、正直去年と同じような感覚で投げられるとは思っていない。今年はどのタイミングで、どこを意識したらハマるとかっていうのを意識しながら、そこを探しながらみたいな感じで過ごしている。1日でも早く、『今年はここをポイントに置いたら動きやすくなる』というところをしっかり見つけられればいいなと思います」

 経験十分な31歳だけに、まだまだ試行錯誤の段階にある。

 開幕投手候補の筆頭にも挙がる上沢は、現在地を「やってること自体はいい方向に進んでると思う。あとは自分の感覚的な問題」と総括する。修正すべきポイントと進むべき方向性が頭の中で整理されている。思い描くフォームを模索しつつ、開幕へと歩みを進めていく。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)