山川穂高が追い続ける「最初の夢」 憧れに近づく“5度目”…28分間に詰まっていた「意地」

自主トレを公開した山川穂高【写真:竹村岳】
自主トレを公開した山川穂高【写真:竹村岳】

徹底した独自取材、データ分析
選手の本音や核心に迫る「鷹フル」

昨年の日本SではMVP「あの感覚を洗練させてきた」

 プロ入りした時から抱いていた夢――。「5度目」という数字に、大きな意味がある。「あっという間にオフの3か月が過ぎて、休みなく練習してきました。休まなくていいような体作りをイメージしてやってきたので、今のところはいい感じだと思います」。充実した表情で汗を拭い、胸中を語ったのは福岡県内で自主トレを続けてきた山川穂高内野手だ。

 ホークスに移籍して2年目だった昨シーズンは“不完全燃焼”に終わった。130試合に出場して打率.226、23本塁打、62打点。「試合に出続けられたのはよかったです。プロである以上、その年の良い悪いはもちろんありますから」。日本一に輝いたものの、自身の成績に対する責任は重い。阪神との日本シリーズでは3本塁打を放ち、MVPを獲得。「あの時の構えや感覚を研ぎ澄ますように、洗練しながらやっています」と現状を語った。

 年が明けて初めての取材対応は、28分間にも及んだ。報道陣から飛び出る1つ1つの質問に、どこまでも丁寧に答える。通算275発を放ち、誰よりもホームランにこだわる男。今季の目標を問われると、力強く即答した。

「今年ホームラン王になったら5回目になります。5回はプロに入った時に、最初に描いた夢だったので。必ずそれは達成したいです。あとは僕がホークスに来て、(パ・リーグを)2連覇させていただいてるので、3連覇。独走したいなと思います。圧倒的に勝って、圧倒的に打ちまくって、『もう何も言うことなかったね』っていう1年にできるように頑張りたいと思います」

「4番でホームラン王じゃないとダメなんです」

 山川は過去に4度、“キング”となった経験がある。本塁打王を5度以上獲得したのは王貞治球団会長をはじめ、プロ野球の歴史でも6人だけだ。「僕がプロに入った時は中村(剛也)さんがいて、当時もう4回とか5回だったんです。自分もそうなりたいと思ってこの世界に入ってきた。レイエス(日本ハム)もいますけど、外国人選手にも勝っていって、全部を手にできたら」。憧れた存在に追いつくために、より一層、タイトルにもこだわる1年にする。

「(憧れるホームランバッターは)現役では中村さんで、常々憧れてるのは落合(博満)さんです。スター性で言えば、長嶋(茂雄)さんですし、そういう選手に少しでも近づきたいっていう思いです。落合さんなんて、数字だけ見たらとんでもないですし。真の4番になるのが難しいのはわかってるんですけど、だからこそ狙っていきたいです」

 34本塁打を放った2024年は全試合で4番を託された。プロ13年目、時代の流れも当然理解している。「大谷翔平が4番を打っているわけじゃないし、今の日本で一番良いバッターはこんちゃん(近藤健介)だと思いますけど、それも2番か3番じゃないですか」。それでも――。「4番でホームラン王じゃないとダメなんです。これは僕の見栄、意地みたいなものです」。2年連続の日本一を目指す2026年、山川は何本のアーチを描くのか。

(竹村岳 / Gaku Takemura)