今宮健太が語った“周東会長”の2年間 就任前から確信…姿勢の変化は「想像以上だった」

今宮健太と周東佑京【写真:竹村岳】
今宮健太と周東佑京【写真:竹村岳】

■周東は今季限りで2年間務めた選手会長の座を退任

 想像を超えた成長だった。22日にみずほPayPayドームで行われた「ファンフェスティバル2025」で、栗原陵矢内野手が来季から選手会長に就任することが正式発表された。2年間務めた周東佑京内野手は、1年目の2024年にパ・リーグ優勝を果たし、今季は日本一。大役を全うし、最高の形で引き継いだ。

 中でも今シーズンは開幕カードで3連敗を喫し、4月終了時点で借金7の最下位。苦しいスタートで自身も何度も怪我に苦しんだが、矢面に立ち、チームを鼓舞し続けた。

 2年前、その周東に選手会長を託したのは、今宮健太内野手だ。重圧やリーダーシップ、さまざまなものを背負う立場だが、バトンを渡した理由は期待そのもの。「しんどいと思うんですけど、そういうところができればもっと人間として成長できる」と語っていた。周東の2年間をどう見たのか。率直な思いを明かした。「想像以上でした」――。

■周東が選手会長を務めた2年「二重丸」

「二重丸じゃないですか。本当に素晴らしかったと思います」

 今宮は2021年オフに就任し、2年間選手会長の座を務めた。ただチームは2022年に2位、2023年は3位といずれも優勝を逃した。常勝が求められるホークス。チームとしても改革が必要不可欠な中、悩みに悩んで4学年下の周東に託した。2023年にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で野球日本代表「侍ジャパン」に選出され、シーズンも自己最多の114試合に出場。レギュラーとして台頭してきたタイミングだった。

 当時の背番号23について「性格が荒いというか。結構ガンガン行ってしまうタイプだった」と振り返る。周東自身も、周囲に対して毅然とした言動を示す難しさは口にしていた。リーダーの座を務めることで、何かが変わる――。今宮自身も経験したことだからこそ「佑京が次のホークスを強くしていくのは間違いないと思いましたので。そういう意味合いを込めて託したところがあった」。ホークスの中心を担う選手になることはわかっていたからこそ、自覚を持ってほしいという期待も込めての選出だった。

■怪我人続出で…今宮が評価した姿勢「思っていた以上に」

 今宮の期待は良い方向に裏切られた。「思っていた以上にすごかったなと思います」。2024年は初めて規定打席に到達し、自己最多の115安打。「選手会長としてチームをまとめたのは間違いないですけど。それよりも彼が成長したっていうところが一番」。メディアへの対応やチームを鼓舞する行動にも、頼もしさを感じていた。

 中でも評価した姿があった。チームに主力の離脱が相次いだ今季。周東も骨折を経験し、今宮も3度登録を抹消。緊急事態に陥ったが、選手会長を務める周東は常に試合に出続けようとする姿勢を崩さなかった。

「怪我人がたくさん出て、本人にも怪我がたくさんあった中でもなんとかゲームに出て、1年間を戦った姿は、色々な選手が見ている。それがいいか悪いかっていうのは別として、そういう姿勢にしてくれたことがよかったかなとは思います」

 想像以上だった“周東会長”の2年間。来季は1学年下の栗原が引き継ぐことになる。「彼も自分のことで精一杯になることもあるとは思うんですけど。広い視野で見ることで、また違うところが見えたりするかもしれない」と今宮もエールを送る。リーダーの思いが継承され、ホークスは強くあり続けてきた。新しい体制のもと、2026年は連覇を目指していく。

 自身は今季、度重なる怪我に苦しみ46試合の出場に終わった。「今年はもう散々怪我をして、1番怪我をしちゃいけんところで怪我をしているので」。選手会長という立場を譲って2年。来季でプロ17年目を迎えるが、選手としての座はまだ譲らない。34歳が再起を誓った。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)