劇的サヨナラでCS初戦白星も小久保監督「そう甘くはないですね」 山川穂高の一打に最敬礼

小久保裕紀監督【写真:加治屋友輝】
小久保裕紀監督【写真:加治屋友輝】

徹底した独自取材、データ分析
選手の本音や核心に迫る「鷹フル」

山川の左前打でサヨナラ…対戦成績は2勝0敗

 ソフトバンクは15日、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ初戦となった日本ハム戦(みずほPayPayドーム)に2-1でサヨナラ勝ちした。両チーム無得点のまま迎えた7回に野村勇内野手のソロで先制。8回に松本裕樹投手がレイエスに同点ソロを浴びたが、延長10回1死満塁の好機で山川穂高内野手がサヨナラ打を放った。

 先発のリバン・モイネロ投手は7回無失点の好投。9回を杉山一樹投手、10回は藤井皓哉投手が無失点に抑えた。これでアドバンテージを含めて対戦成績を2勝0敗とした。この日取材対応した小久保裕紀監督の主なコメントは以下の通り。

●試合前

――周東佑京内野手の起用法は?
「きょうはスタメンではいかないです。代走か、打つ方も守る方といけるという判断なので。途中出場は可能性があると思います」

――周東選手は何日か経てば状況も変わる?
「日に日によくはなっているので。よくなってから合流じゃなくて、今できるところで戦力と考えているので」

――初戦のスタメンは悩んだ?
「悩むポイントは決まっているので。それでもそんなに悩まなかったですね。きょうは僕の考えたオーダーとコーチのものが一致していたので」

――モイネロ投手を初戦に持ってくるのも悩まなかった?
「そうですね。優勝が決まった時点からここに合わせてきたので」

――このCSはロースコアになると予想する?
「その日の先発によって変わるでしょうけど。きょうはロースコアになると見ています」

――達投手の印象は?
「(対戦したのが)1試合だけなので。その時はたまたま点を取れましたけど、やっぱり上背もあって、真っ直ぐとフォークで勝負してくるいいピッチャーだと思いますよ。天理(高校)の時からいいピッチャーだと思っていましたけど、ここまで成長するんやなと」

――新庄監督は牧原大成選手と海野隆司選手を警戒すると
「海野は日本ハムに対して打ってるらしいね。そんな印象は全くないけど」

――打席が回ってきたら歩かせようかなとも発言していた。
「助かりますね」

――短期決戦は捕手も重要になる。海野選手への期待は?
「初めてのことは何をするにも不安は付きまとうものなので。シーズンを戦い抜いた自信を持ってやってほしいですね」

――海野選手は春先とは変わった?
「全然違いますね。(シーズンの)途中から杉山(一樹)が投げた時は抑え捕手みたいに使いましたけど。あの起用はキャッチャーにとっても試合の流れが関係なくなるので。無理やり組ませましたけど、その経験は大きかったと思います。あと本人も言ってましたけど、データを叩き込むだけじゃなくて、打者が打席の中でどう感じているかが大事なので。そういうのを見る力が出てきたとは思います。それがキャッチャーの力なので」

――CSでの采配はどう考える?
「試合の流れっていうのは普段から一番大事にしているので。3つ勝てば突破なので。そのためにやるだけです」

――去年の日本シリーズは3つ負けられると。CSでの考え方は?
「それはないですね。理想は3連勝です。ただ投手の起用については最大6試合あるので。中継ぎに関しては考えながらになります」

――藤井皓哉投手の腰の状態は?
「全然問題ないです」

先発モイネロは「ゲームを作ってくれました」

●試合後

――劇的なサヨナラ勝ち。
「初回、2回とチャンスがあった中で点が取れず、達が立ち直ってね。野村のホームランでいけるかと思ったんですけどね。まあ、そうは甘くないですね。でも本当に、最後はみんなよくつないで、山川がよく決めてくれました」

――総力戦となった初戦を取ったのは非常に大きかった。
「もちろんそうですね。その通り大きいですね」

――山川選手が決めた。
「サードゴロ、サードゴロって言ってたんですけど。前進守備で打った瞬間に跳ね上がったので。サードの頭は超えたかなと思いましたけどね。もう、形なんか関係ないです。勝てばいいです」

――サヨナラの場面は中村晃選手のバント、そして今宮選手がヒットでつないだ。
「晃は4番を打たせていますけど、本当に作戦に絡める4番で。今シーズンもそういう戦いをしてきましたので。こういう短期決戦でも非常に頼もしいです。経験のある選手はそういうところで打ってくれますよね」

――モイネロ投手は序盤苦しみながら7回無失点。
「本来の調子には程遠いでしょうけど、それでも0で抑えるところがモイネロですね。別に緊張はしていなかったらしいんですけど、やっぱり中20日っていうことで、間隔が空きすぎたって言ってたんですけどね。本当に点をやらないという点では、しっかりゲームを作ってくれましたので。よかったと思いますよ」

――レイエス選手にはホームラン1本を含む3安打を許した。明日以降も要注意の存在になる。
「ファーストステージを見てもそうですけど、状態が多分、今シーズンで一番いいくらいかなと感じてますんでね。対策をもう1回練り直さないといけないなと思ってます」

――明日に向けて。
「とにかく、あと2つ勝つだけなので。あと2つ勝ちます」

ーー痺れた展開だった。
「すんなりいくとは思わなかったので。勝つのと負けるのじゃ大違いですね。どっちに転んでもおかしくない展開だったので」

ーー山川選手の4番起用は頭になかった?
「フェニックス・リーグで調整はしていましたけど、(CSファイナルが)スタートするにあたって(山川の)4番は誰も考えていなかったですね。山川が悪いんじゃなくて、今年の戦いの中で一番点が取れる確率を考えれば。議論もなかったです」

ー中継ぎ陣は1失点で踏ん張った。
「(レイエスに)力勝負にいって、あんな真っ直ぐをあんなところに飛ばすレイエスがすごいでしょう。とにかく調子が良さそうなので、かなり要注意ですね」

ーー周東選手が途中出場した。
「日に日に良くなっているし、試合前のシートノックを見てゲームで行けると判断したので。本人からもそういう言葉がありました」

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)