7戦ぶりスタメンで4号ソロを放った佐藤直
悩みに悩んで、たどり着いた境地があった。佐藤直樹外野手は30日のロッテ戦で今季4号ソロを放った。試合前時点で打率.389と相性の良かったZOZOマリン。7戦ぶりのスタメン起用で首脳陣の期待に応えてみせた。
7月は月間打率.132と苦しんだが、8月は打率.267と復調気配。前日には途中交代した近藤健介外野手に代わり急遽出場。存在感を示すように安打を放つなど、チームの窮地で活躍が光っている。
29日には柳田悠岐外野手が2軍戦で約4か月半ぶりとなる実戦に復帰。小久保裕紀監督は「すぐには(昇格は)ないです」と話したが、“師匠”が1軍へ戻ると、外野手の争いはより熾烈になる。それでも佐藤直は気にはしていないという。「(レギュラーは)普通に無理かなって」。その真意とは――。
「無いです、無いです」。スタメンへの意識を問うと、真っ向から否定した。「試合に出られたら爪痕を残せるように頑張ろうくらいで、あとは準備と毎日のバッティング練習で試行錯誤してやっています」
一見、レギュラーを諦めたようにも聞こえる発言は、目の前のことに集中していることの裏返しだ。起用法は首脳陣が決めること。自分はただ、できることをやる。しっかりと足元を見つめているからこその“レギュラー無理”発言だった。
近藤の途中交代「急遽過ぎて…」
「1つ1つのチャンスをしっかり掴んでいこうっていう意識はしています。とりあえず出た時は頑張る。出る、出ないは僕が決めることではないので。後ろから(途中出場)でも、しっかりプレーできるように普段から準備しています」
29日の試合では「3番・右翼」で先発した近藤健介外野手が緊急交代。4回の守備から出場した佐藤直は、その後の打席でバットを折りながら中前打、さらに8回には犠打を決めた。「急遽過ぎてなんも思わなかったです。『打てんでもいいか』くらいで」。そう本人は謙遜するが、準備ができていたからこその結果だろう。
「しっかりやって、あかんかったら(2軍に)落ちるし、良かったら(1軍に)残れるし。僕が決めることではないので、そこは考えていないです」。さまざまな苦労を経験してきたからこそ、やるべきことに徹する姿勢がある。育成から這い上がったからこそ、たどり着けた答えだった。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)