第1打席で違和感→第2打席で特大2ラン
手負いの状態とは思えないほどの一発だった。近藤健介外野手は29日のロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)で今季8号となる特大の2ランを放った。しかし、その直後の4回の守備に就かず、途中交代となった。
試合後、小久保裕紀監督は交代の理由を「左脇腹の違和感」と説明。近藤自身も「少し違和感があって、だんだんやっていくうちに……。いけるかなと思ったんですけど」と状態を明かした。
異変があったのは第1打席の時だった。途中交代のベンチでは何があったのか――。本人、そして首脳陣が語った舞台裏とは。
「本当に大事をとって、という感じです。(30日以降の試合は)病院の方でも、話し合ってからじゃないですかね」
今季の近藤は相次ぐ故障に悩まされてきた。開幕直後の腰の手術にはじまり、実戦復帰した5月14日の2軍戦では、右太ももに違和感を覚えて途中交代。1軍復帰後の6月17日の広島戦(マツダスタジアム)では左かかとを負傷している。優勝争いが激化する中、これ以上の離脱は避けたいところ。大事をとっての判断だった。
違和感を抱えながらも4回の第2打席では8号2ラン。強く吹いていた逆風をものともせず、右翼席中段まで運んだ。近藤が「いけるかなと思った」と話すように、第2打席に向かう時点では違和感があることは首脳陣に伝わっていなかった。
村上隆行打撃コーチは「そこまでは何も言ってなかったんです。その後で聞いて、違和感があるということなので」と振り返る。「あの状態でも、打ってくれたんでね……。それに関してはありがとうですけどね」と驚きを隠せなかった。
「もちろん疲れも当然ある」も…守備の影響は?
直近4試合、右翼の守備に就いていた近藤。大西崇之外野守備走塁兼作戦コーチは「ずっと出ているから、もちろん疲れもある。この時期になってきたらね」と、蓄積した疲労を考慮しつつも「大事に至る前に止めたと思うよ。守備自体が影響を与えたことは少ないんじゃないかな」と語った。
この日は栗原陵矢内野手が1軍に合流し、即2安打をマーク。柳田悠岐外野手も2軍戦で約4か月半ぶりに実戦復帰を果たした。勝負の9月を“万全の布陣”で迎えるためにも、更なる離脱は避けたいところ。首脳陣は近藤の状態を考慮し、慎重な判断を下した形だ。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)