人気企画「鷹フルシーズン連載~極談~」。上沢直之投手の第7回は“投手陣の後輩たち”について。ソフトバンクに加入して8か月。驚いたのは若手投手陣の意識でした。「ああいう結果が出て当然かなとは思います」――。自身の若手時代との違いを語ってくれました。
20日間の“リフレッシュ期間”を経て、本来の姿を取り戻した。7月12日以来、およそ3週間ぶりの登板となった8月1日の楽天戦(みずほPayPayドーム)では、7回1失点の力投。日本ハムに同期で入団した近藤健介外野手と上がったお立ち台では「なかなかいい投球ができていなかったので、しっかりとしたピッチングができてよかった」と安堵の表情を見せた。
その言葉通り、6月21日の阪神戦から3試合連続で初回に失点するなど、右腕は納得のいく投球ができていなかった。一方で、チームはその間に調子を取り戻し、6月は14勝7敗1分、7月は17勝5敗1分と貯金を作った。
自らが苦戦する中、チームを支えたのは若手投手陣だった。大関友久投手は6、7月はいずれも防御率0点台。前田悠伍投手は7月13日の楽天戦(楽天モバイルパーク)でプロ初勝利を挙げ、松本晴投手も先発として6月以降に3勝をマーク。“後輩投手陣”から感じていたのは、知識量とそれを取捨選択する能力だった。
「本当に凄いなと思いますよ。彼らは彼らなりにとても考えてやっているし、若くて勢いもある。なおかつ、それに対してしっかり準備をしているので。ああいった結果が出て当然かなとは思いますけどね」
トラックマン等の最新機器だけでなく、SNSやインターネットを通じてさまざまな情報が手に入る時代。大事なのは、いかに使いこなすか。「最近は色々な情報があっていいなって思う一方で、それを整理していくの難しいんだろうなって。でも、彼らは彼らなりに自分に合うものを見つけるということが、しっかりできてるのがすごいなと思います」。
ホークスに加入して1年目ながら、グラウンドでの練習ではチームメートと積極的にコミュニケーションを取る姿が目立つ。「一緒に野球をしていても、投手陣は本当に能力が高い選手が多いですね。僕が若かった時よりも知識量がはるかに多い。今、情報が溢れている中でも自分で整理できているのかなと思います」。後輩たちから学ぶことも多いという。
チームは7月29日からの日本ハム3連戦を2勝1敗で勝ち越し、ついに首位に躍り出た。「みんなが持っている力を普通に出しただけだと僕は思っています。偶然、前半の方に年間で負ける回数が寄っただけかなって。そうとしか思えないですけどね、いる選手の能力からしたら」。
日米通算14年目のシーズンでも、貪欲に学ぶ姿勢は怠らない。若鷹からの刺激を受け、自らもチームの“柱”になれるように――。「チームが勝っているのはいいことなので、その流れを切らないように」。言葉に力を込めた。