牧原大成自ら「紙一重のプレーだった」 同僚&コーチが証言…勝敗分けた好守の“必然”

牧原大成【写真:小林靖】
牧原大成【写真:小林靖】

中堅へ長打…佐藤直と牧原大が好守でチームを救った

 自ら「紙一重」と話したプレーは決して奇跡ではなかった。27日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)。相手に流れを渡さなかったのは、牧原大成内野手と佐藤直樹外野手の中継だった。3-0とリードした8回。先発の大関友久投手が先頭のディアスにソロを献上し、2点差に。続く廣岡にも右中間へ大きな当たりを浴びた。

 中堅の緒方理貢外野手がグラブに当てながらも捕球はできず。しかし、カバーに入っていた佐藤直がすぐさま内野に返球すると、受け取った牧原大が三塁へストライク送球。三塁を狙った廣岡を刺し、ピンチを作らなかった。

 試合後、大関は「ノーアウト三塁になったらもう1点取られる確率は上がるので。本当に牧原さんに助けてもらいました」と感謝した。相手の反撃ムードを断ち切った好守はなぜできたのか――。同僚と首脳陣が語ったのは、その中継を生み出すまでの周到な準備だった。

「大きいプレーだったと思います」。そう語ったのは佐藤直だった。「(アウトを)取れるかどうかわかんなかったですけど、外野はボールを持ったら内野に早く投げるのが大事なので」。ボールを拾うと、牧原大を信じて投げた。

 右翼を守ると、牧原大の頼もしさを日々感じている。「抜けると思った打球が抜けんかったりとか、外野の方までフライを追ってくれたりとか……」。すごいのは守備範囲だけではない。「毎回わざわざ外野の方に『ここはこう』といったジェスチャーをしてくれます」。内外野のコミュニケーションも積極的だ。

奈良原コーチが称賛「キャンプからずっと…」

 ポジショニングも好守を生み出すには欠かせなかった。牧原大は外野手の肩の力に合わせて、中継の位置をずらす。基本的なことではあるが、確実にこなしたからこそ、アウトにすることができた。「キャンプからずっと練習してるところにしっかり入れて、自分との距離でちゃんと受けてるっていうところ。基本通りがしっかりできているかなと思うけどね」。奈良原浩ヘッドコーチもそう称賛した。

「(送球が)逸れていたらセーフだったと思うので。紙一重のプレーだったかと思います」。試合後、牧原大は淡々と振り返った。続けて「ゼキ(大関)も頑張っていたんですけど、球威的にもきつそうだったんで、そこはカバーできてよかった」と左腕への気遣いも見せた。

 今季は二塁だけでなく、中堅や約5年振りの右翼での出場など、複数ポジションでチームを救っている。「何かが起きてからというよりも、このプレーで『こうなったらこうする』というのが、自分の中である程度整理できている」と牧原大。周りを見る判断力と、周到な準備――。32歳にとっては“必然”のプレーだった。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)