柳田離脱もキッパリ「代わりにとかはない」
頼ることはせず、これをチャンスだとも思わない。一喜一憂しないこと――。それが好結果につながっている。12日、柳田悠岐外野手が戦線離脱し、緊急事態を救ったのはオフに自主トレを共にした佐藤直樹外野手だった。
育成で再契約した昨季も柳田の長期離脱が確定した6月1日に支配下登録され、即1軍に上がった。昨年と同じようなシチュエーションだが、「ギーさんの代わりにという気持ちはない」とキッパリと話す。1軍でやるべきことが明確になっているから、迷いがない。
「キャンプ、自主トレで色々教わったので。1軍でしっかり結果を出すことがギーさんへの恩返しかなと思ったんです」
12日のロッテ戦(ZOZOマリン)、「2番・右翼」で出場すると、3回1死三塁の第2打席で先制の右前適時打。さらに6回1死二塁の第3打席で今度は左前に運んだ。周東佑京内野手の好走塁もあり2打点目。初回にも安打を放っており、プロ初の“猛打賞”を記録した。
オフには柳田の元で自主トレを行った。約1か月の共同生活で得たのは心の成長。もともとネガティブ思考で考え込みがちな性格。直そうと思えたのは、柳田の存在だった。「『打てんかったらどうしよう』とか…今でもたまにはありますけど、プラスに捉えるとか切り替えがうまくなってきました」。
2軍で不調…思わず出た後ろ向きな言葉
2軍でも開幕前は不調に陥っていた。「今何が悪いかわからない」。3月半ば、取材中にはネガティブな言葉が漏れたが、シーズンが開幕すると好成績を残した。改めて意識したのは一喜一憂しないこと。「結果を考えないことですかね。しっかり自分が狙ったところを振りにいければ、結果は凡打であれ、ヒットであれ、オッケー」。前向きに捉えることができた。
11日に柳田が自打球を当て負傷交代。右脛骨の骨挫傷で全治約1か月と診断され、登録を抹消された。佐藤直は驚きこそしたものの、連絡をすることはなかった。「ギーさんの代わりにという気持ちはないですけど、自分でできることをしっかりやろうかなと」。
柳田の離脱が決まったこの日、山本恵大外野手が支配下登録され、即1軍に合流。代走で出場した。熾烈な外野手争い。若手にとってはチャンスにも見えるが、佐藤直は「それは感じていない」と否定する。
小久保裕紀監督も「打てば出られる。シンプルですから。外野手はアピールしてほしいです」と期待する。「やることをしっかりやって。結果もそうですけど、内容をよくして、ずっと使ってもらえるような感じの内容にしたいです」。他人の結果はコントロールできない。自らのプレーに没頭する。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)