日本Sで味わった“選手層の薄さ”…首脳陣の反省 開幕ローテ選びで貫いた1つの“基準”

倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)【写真:冨田成美】
倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)【写真:冨田成美】

開幕ローテで最年少は前田純「そういう評価」

 鷹フルは開幕前、倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)の単独インタビューを行いました。第1回のテーマは「開幕ローテーションの人選」について、です。“度外視”した将来性……。選ばれし5人は、どのように決まったのか。チームとして目指すのは、秋にこそ強さを発揮する投手陣です。

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 2024年から、ホークスに復帰。“2年目”となるシーズンに「キャンプに入る時が一番気持ちの変化がある。開幕を迎えはしますけど、もうスイッチは入った状態ですから」と自己分析した。あらゆる事態を想定し、備えるのが首脳陣の仕事。「最悪のケースまで想像しないといけないし、常にリスクマネジメントはしている。どうしても不安の方が勝ちますね」と苦笑いするが、それもきっといい意味での“職業病”だ。

 今シーズン、開幕ローテーションに選ばれたのは5人だ。初戦を託された有原航平投手に大関友久投手、上沢直之投手と続く。4月1日の日本ハム戦(エスコンフィールド)ではリバン・モイネロ投手と、前田純投手が先発する予定だ。春季キャンプから本格化した競争を勝ち抜いたメンバー。倉野コーチは、人選の“基準”を「勝つ確率」と断言する。

「僕と監督の中でブレていないのが、経験を積ませようと思って投げさせたことはないんです。実際そういう場面はありますけど、勝たないといけない試合で、この選手の将来を思ってやろうということはほぼないですね。勝たないといけない試合は、全力で勝ちにいかないといけないので。当たり前ですけど。それは年齢とか将来性とか期待値とか、そういうのを全く抜きにして、現状の力で誰が一番抑える確率が高いんだっていう選択をしているので。期待値とか将来性で選ぶことはないですね」

 昨年リーグ優勝を果たしたが、2連覇に挑むのだからホークスもチャレンジャーだ。開幕5試合も当然、勝利が必要な試合。純粋に、実力を基準とした選出で「その通りです。まず開幕は、一番このチームの中で勝つ確率の高い5人、6人で決めるわけです」と続けて語った。

 最年少となったのは、前田純。2022年育成ドラフト10位で入団し、昨年7月に支配下登録された。大卒3年目の24歳は、オープン戦でも3試合に登板して防御率0.60と、確かな成長を見せた。倉野コーチも「前田純が若いから、育てていかないといけないからという選び方は一切していないです。マエジュンはちゃんと相手を抑えられるだけのものを見せてくれた。そういう評価を与えてくれました」と、開幕ローテ入りの理由を語る。

開幕ローテ入りを果たした前田純【写真:冨田成美】
開幕ローテ入りを果たした前田純【写真:冨田成美】

“秋最強”を目指す意味「失敗すると突かれる」

 日本一を目指し、昨シーズンも頂上決戦に進出した。しかし、DeNAを相手に2勝4敗。短期決戦の難しさを経験した。倉野コーチも「日本シリーズの時にもよく言われました。なんで経験のない若い投手を使ったんですか、とか。失敗するといろんなことを突かれる」と、悔しさは絶対に忘れない。怪我人も続いたことで、味わった選手層の薄さ。目指すのは、“秋最強”の投手陣だ。

「シーズンを勝たないとどうしようもないし、まずはリーグ優勝するための戦い方になります。それにプラスして、秋にも勝てるチーム作りは監督としっかり話し合いながら進めていければと思っています。最終的に、日本シリーズに負けたところに、自分の中で反省がありますから」

 怪我人がいたとしても、どんな状況だったとしても、目的は1つ。誰を送り込んでも勝負できるだけの布陣を作り上げることだ。「もちろん短期決戦ですから。下馬評通りにいくだなんて思っていないですけど。離脱もありましたけど、日本シリーズまでいった時の選手層を厚くできなかった。もっとシーズン中からできたことがあったと、僕の中では反省があります」と繰り返す。だからこそ全体的な底上げをテーマにして、オフからナインを鍛え上げてきた。

 投手運用においても「去年のよかったところは継続しつつ、僕なりにもフィードバックをしながら改善していきたいです」。次回は、上沢に春季キャンプ中から感じていた“伸び代”に迫っていく。

開幕戦でマウンドに集まる選手たち【写真:冨田成美】
開幕戦でマウンドに集まる選手たち【写真:冨田成美】

 怪我人がいたとしても、どんな状況だったとしても、目的は1つ。誰を送り込んでも勝負できるだけの布陣を作り上げることだ。「もちろん短期決戦ですから。下馬評通りにいくだなんて思っていないですけど。離脱もありましたけど、日本シリーズまでいった時の選手層を厚くできなかった。もっとシーズン中からできたことがあったと、僕の中では反省があります」と繰り返す。だからこそ全体的な底上げをテーマにして、オフからナインを鍛え上げてきた。

 投手運用においても「去年のよかったところは継続しつつ、僕なりにもフィードバックをしながら改善していきたいです」。次回は、上沢に春季キャンプ中から感じていた“伸び代”に迫っていく。

(竹村岳 / Gaku Takemura)