23日に行われたOB戦…内川聖一さんは3ランを放ちMVPに輝いた
ホークスで10年間過ごし、何度も頂点を味わった男に、今のチームはどう見えているのか――。
みずほPayPayドームで23日に行われたソフトバンクのOB戦「SoftBank HAWKS 20th ANNIVERSARY SPECIAL MATCH Supported by 昭和建設」。黒鷹軍のMVPに輝いたのは、3ランを含む4打点を記録した内川聖一さんだった。「1月に現役選手から自主トレを見てほしいと言われて、その最後に何球か打たせてもらいましたけど、この日のために(練習した)というのはないです」と、自身も驚く活躍だった。
2010年オフ、国内FA権を行使してDeNAからホークスに移籍した。首位打者獲得やキャプテン就任、数々の経験をしながら、ファンを喜ばせてきた。2020年に退団して、5年の月日が流れた。今のホークスには、「変化」を感じ取る。
「僕らがいる頃と、コーチというか、選手に対するアプローチが変わってきていると思います。だから、僕らの時代は僕らの時代でよかったと思いますし。今は最新の部分で、選手をサポートするところ。これは素晴らしいことだと思うので。その結果が今年出るのか、僕も楽しみに見させていただきたいなって思います」
ホークスは2022年、日本では初となる4軍を新設した。コーディネーター制、最新鋭打撃マシン「トラジェクトアーク」の導入……。今季から1軍の打撃コーチは1人となり、「R&Dグループスキルコーチ(打撃)」も誕生した。決して挑戦をやめない球団の姿勢に、内川さんは「最先端というとおかしいですけど、新しいものを取り入れながらやっているのがホークスだと思うので。それがどういう形になるのか」と期待する。
近藤との共通点「僕も現役の時にやってきた」
2025年シーズンの開幕。レギュラーと明言されているのは柳田悠岐外野手、近藤健介外野手、山川穂高内野手の3人。左右の違いはあれど、内川さんとも共通点が多いのは近藤だろう。首位打者、MVP、国際大会の経験……。“現役最強打者”とも言われる背番号3には、通算2186本のヒットを放った男も、感嘆するしかない。
「日本ハムからこっち(ホークス)にきて、もう1度ホームランというところに取り組んでいますよね。常に、現状維持ではなくてさらに上を目指す、何かを付け加える、変化させる。そういった繰り返しは僕も現役の時にやってきた。現役が終わった今、改めて見てみるとコンちゃんすげえなって思います」
近年の近藤は長打力アップをテーマに掲げ、2023年には26本塁打でタイトルを獲得した。いち早く「ドライブライン」に着目するなど、変化を恐れない。オープン戦期間中も「まだまだ、いろいろ試しているところです」と語っていた。
内川さんも2015年からキャプテンと4番打者を託されるようになり、より多くの長打を求めた。1シーズンのキャリアハイは2013年の19本塁打。「僕はどちらかといえば、うまくいかなかった。4番になった時期にホームランテラスができて、安易にホームランは増えるだろうというところで、僕の場合はそれがうまく移行できなかった」と振り返る。だからこそ、近藤が示し続ける“進化”も「簡単なことじゃないですよ」と、身をもって理解しているというわけだ。
NPBの第一線から退いて、2年が経過した。ユニホームを脱いだ今も、日々は発見の連続。「やめてみて、若い時からもっとこうしておけばよかったな、こういうことがあったんじゃないかって気づくことはいっぱいあるんです。だから、それを常にやり続けている今の選手たちはすごいなというのが、正直な感想です」。歩みを止めることなく、高みを目指し続ける。一流選手たちの共通点だ。
(竹村岳 / Gaku Takemura)