NPBでプレーするようになり、今季が4年目。日本の文化が「大好き」とリスペクトし、時間を見つければ大阪や東京、京都などに観光にも出かけてきた。力強い日本語で「すみません」と書かれたTシャツ。なぜ自ら考案し、発注したのか。根底にあるのが、周囲を楽しませたいという気持ちだ。
「野球選手って、つい集中している状態が多いと思うんですよね。それも大事ですけど、たまにはリラックスして、笑いを起こすこと、楽しむこと。実際、どういう意味かわからないですけど、Tシャツを着て歩いているだけで日本人の選手や、ファンの方が『どういう意味かわかってるの?』って笑ってくれるじゃないですか。その瞬間が大事なんです。特別な意味があるわけではない。ただ笑ってもらいたい。それが大事なので、作りました」
重圧の中で、シーズンを戦う世界。結果が全てということは、外国人選手なら身をもって理解しているだろう。「常に勝利を求められている。練習も毎日する。ファンの方に喜んでもらうためには、やるべきことがいっぱいあるんです」という。メキシコで生まれ育ち、大好きなのは音楽とダンス。ちょっとした工夫で笑顔を届け、楽しい気持ちを共有したかっただけだ。
「すみません」という言葉のチョイスに意味はない。続けるように右腕は強調する。「メッセージ(性)は全くないです。例えばこれが『お願いします』でもよかった。僕は日本の文化を本当に尊重していますし、柳田選手にも少しでも笑ってもらえたのならよかった」と繰り返した。
メキシコで過ごした幼少期、家庭は裕福ではなく、治安も悪かった。銃声が飛び交うのも日常の一部。12歳で初めて日本を訪れた時から、感銘を受けてばかりだ。「自分の国だともっと危ないことがあるんです。暴力もあるし、危険なことがたくさんあります。日本は安全な国だし、僕たち家族にとっても大好きな国です。間違って伝わってほしくないんですけど、本当に楽しんでもらいたかっただけです」。プレーはもちろん、行動1つでも周囲を笑顔にしたい。オスナの人柄が詰まった“傑作”だ。