松田宣浩氏がキーマンに指名…世代交代は「心配していない」
自らの姿と、今季からチーム最年長になった主砲を重ね合わせた。松田宣浩氏が今季のホークスのキーマンとして挙げたのは柳田悠岐外野手だった。「元気よく頑張ることが一番大事かなと思います」。昨季、あと一歩のところで逃した日本一の座を奪還するには、36歳のベテランの力が不可欠だ。
松田氏は2022年にホークスを退団し、2023年に現役を引退。現在は評論家として活動し、17年間を過ごした古巣を見守っている。退団後のホークスをどのように見ているのか。そして、7年契約を残り2年とし、1月には「あとちょっとしか野球やらないと思うので」と話していた柳田への思いも明かした。
23日に行われたOB戦「SoftBank HAWKS 20th ANNIVERSARY SPECIAL MATCH Supported by 昭和建設」。満員のみずほPayPayドームを沸かせたのは松田氏だった。3本塁打でホームランダービーを制しただけでなく、ファンと共に全力の「熱男」を披露し、盛り上げた。
「こんなに幸せなことはないです。初めての企画ですし、ファンの皆さんと盛り上がって、いいものにしたいです」
2022年にホークスを退団。当時、柳田、中村晃外野手、今宮健太内野手の3人には「おらんくなってから引っ張ってもらわないといけない」と退団することをやんわりと先に伝えていた。そんな柳田も今季からチーム最年長に。「今年は柳田選手がキーマンだと思っているので。頑張って欲しいなと思います」とエールを送った。
柳田は2019年オフに7年契約を結び、今年が6年目になる。これまで、契約終了と同時に引退を匂わせる発言をしてきたが、松田氏は「自分で決めることなので。まずはあと2年全力で頑張って欲しいですし、まだまだやって欲しいなと思いますね」と意向を尊重する。
松田氏自身は40歳まで現役という目標を掲げてきた。入団1年目の春季キャンプで1軍チーフ兼内野守備・走塁コーチを務めていた森脇浩司氏から「40歳までプレーしよう」と言われたことで、常にそこを目指し続けた。2023年に巨人で1年間プレーし40歳で現役を引退。「目標を達成したから悔いはないです」と胸を張る。
柳田は今年で37歳になる。40歳という“大台”が近づき「ギータにも口酸っぱく(長く続けることを)言ってきました」と本音は長く現役を続けてもらいたい。一方で「個人のゴールは個人で決めること」。自ら掲げた目標まで頑張ってサッパリと辞める。それも“引き際の美学”だ。
「ギータに関しては(引退が)38歳だったら、38歳でそれが正解ですし。まだ2年ありますから。この2年でもっとやりたいのか、もういいのか。それは個人で決めることなので。僕はとにかく40歳まで目標を達成したかった。個人個人、目標を達成して終わって欲しい」
退団を事前に伝えた3人は現在もチームを引っ張っている。さらに松田氏の退団後には周東佑京内野手が選手会長になるなど、次の世代の主役も出てきた。「同じ時代にプレーしたホークスの選手が最年長近くになっていますし、そう言った意味ではとにかく1年でも長く、1日でも長くと言う感じで。また、いい形でサイクルがね。柳田選手、中村晃選手、今宮選手の後は周東選手、栗原選手が受け継いでいるような流れもあるので。そこは心配していないです」。現役を長く続けて欲しいという願いはある。ただ、一番は悔いのない野球人生を送ってほしい――。それが松田氏の願いだ。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)