山川&近藤も驚愕…モイネロの「最大の武器」とは? “無双”を可能にする唯一無二の球種

リバン・モイネロ【写真:冨田成美】
リバン・モイネロ【写真:冨田成美】

モイネロ自身は「もう少しアジャストを」…あえて挙げた自らの課題とは?

 圧倒的な投球に、同僚たちは何を思ったのか。本塁打王に4度輝いた“キング”と、現役最強打者の言葉には説得力があった。18日の中日戦(みずほPayPayドーム)、先発したリバン・モイネロ投手が、6回を投げて1人の走者も許さない完全投球を見せた。凄みを増す助っ人に対し「厳しいでしょうね」――。、山川穂高内野手と近藤健介外野手が印象を語った。

“本番”さながらのモイネロショーだった。初回をわずか10球で3者凡退に仕留めると、左腕はリズムに乗った。3回はブライト、鵜飼から三振を奪うと、4回無死では岡林が放った一、二塁間の打球をジーター・ダウンズ内野手が横っ飛びで好捕。リズムのいい投球が味方の守備にも好影響をもたらした。6回2死、最後はクイックモーションで鵜飼を空振り三振。6回を投げてわずか71球。6三振を奪うなど、オープン戦初マウンドで完璧な内容を披露した。

 先発転向1年目となった昨シーズンは25試合に登板して11勝5敗、防御率1.88。最優秀防御率のタイトルを獲得するなど、リーグ優勝に貢献した。さらなる飛躍を期す今季、春季キャンプではS組に選出されて独自調整を貫いてきた。2月下旬の雨の日。ブルペン投球をする左腕に対して、打席に入ったのが山川と近藤だった。実際に打席から軌道を目に焼き付けてから、約3週間。この日の投球は、どのように見えたのか。驚愕の感想だった。

「バッターは厳しいでしょうね」

 山川の第一声だ。それほどまでに、圧倒的なボールだった。セ・リーグの中日が相手なだけに「対戦数が少ないっていうのはあると思いますけど」と前置きしつつ、「(直球と変化球を)両方を待つようなアプローチでは、モイネロを攻略するのは厳しいと思うので。だからといって何かを1本待ちしても、球種が多いですしね」ときっぱり。4度の本塁打王を経験したスラッガーでさえも、大絶賛する投球だった。

 球種やコース、打つ方向など、何か狙いを明確にしなければモイネロを打つのは難しい。さらにカーブやチェンジアップをカウント球としても、決め球としても使えるのだから完成度が高かった。ハイレベルなピッチングを可能にさせているのが、直球だ。「何より真っすぐが軽く投げているようでめちゃくちゃ速いので、あれが最大の武器でしょうね」。全身をバネのようにして使うフォームには、球速以上のパワーを感じる。

 近藤も「すごいですね。安定しています」と唸るしかない。2023年からホークスに加入した“現役最強打者”。モイネロが中継ぎから先発になった経緯も、同僚として見てきた。左腕が圧倒する姿を右翼から目にして「去年は先発やったばかりだったので、あれだと思いますけど。今年は2年目ですし、ここからよくなるかなと思います」と言う。まだまだオープン戦。“伸び代”さえ感じさせるのだから、末恐ろしい。

 モイネロも納得しながらも「全体的によかったと思いますが、もう少しアジャストしていくところがある。変化球の質を良くしたいし、真っすぐの球速も上げたい」と課題に言及した。一方で、収穫を問われると「いいスライダーが投げられた場面があった。思い描いていたように、ボールゾーンに投げることができたので、そこが一番よかった」と感触を振り返る。

 この日のマウンドでは、走者は出していなかったが最後はクイックモーションも試していた。「ランナーが出る場面がなかったので。なるべく実戦に近い状況でできるように。二塁にいることを想定して投げていました」と、どこまでも隙はない。降板した後もブルペン投球を行い「7回まで投げるイメージで、引き続き投げました」と、シーズンに向けて着実すぎるほど準備を進めている。開幕まで、もう1度登板する予定だ。

 小久保裕紀監督も「見ての通り」と、もはや多くを語らない。モイネロ自身の採点は「80点」だという。先発2年目となる2025年。「皆さん、今シーズン頑張りましょうか」と流暢な日本語で、意気込みを語った。どんな時でも相手打線を制圧して、ホークスに勝利をもたらす。

(竹村岳 / Gaku Takemura)