正捕手争い“最終章”「未来は決まっている」 まさかの心構え…谷川原健太が明かす10年目の覚悟

谷川原健太【写真:冨田成美】
谷川原健太【写真:冨田成美】

28日のシーズン開幕まで残り2週間…有原との初バッテリーにも手ごたえ

 28日のシーズン開幕まで残り2週間。“ポスト甲斐争い”もいよいよ最終章に突入しようとしている。春季キャンプからA組に帯同していた渡邉陸捕手が13日に2軍へ合流。現時点で海野隆司捕手、嶺井博希捕手とともに1軍メンバーに残っているのが、谷川原健太捕手だ。

 小久保裕紀監督は開幕戦でベンチに入れる捕手の人数について「2人か3人かはまだ決めていない」と言及。最後の最後まで熾烈な争いは続きそうだ。そんな中で静かに闘志を燃やしているのが谷川原だ。「未来はもう決まっていると思うので」――。27歳が発した達観したかのような言葉。その真意を聞いた。

「未来が決まっていると思ったほうが楽なので。(未来を)変えてやろうとして、そこで空回りしたくないので。決まっているからこそ、今できることをやろうという考え方の方が僕のメンタル的には合っているかなと」

 独特な表現を簡単に言い換えれば「人事を尽くして天命を待つ」だ。「未来をより良いものにしようとすると、どうしても焦りが出ちゃうので。これまでもたくさん焦ってしまった経験がありますし。もう10年目なので。そんな感じでやっていこうというのはありますね」。

 先のことは誰にも分からない。評価は自分が決めるものでもない。だからこそ、目の前のことには精一杯取り組む。5日のヤクルトとのオープン戦(みずほPayPayドーム)。先発の有原と自身初めてバッテリーを組んだ。

「試合前練習が終わって、有原さんがロッカーにいるときに話したのと、ミーティングでもう一度打ち合わせをして。有原さんも試したいことがありましたし、僕にとっても色々と収穫になったなと思います」

 開幕まで“最初で最後のチャンス”になるかもしれないからこそ、この1試合を大切にした。小久保監督はオープン戦で先発投手は様々な捕手と組ませる方針を口にしていた。「もしかしたら開幕までもう組めないのかなというはありました」。状況ごとに持ち球の使い方を確認し、「ブルペンよりも試合になると精度が上がるというか。球質も強くなるし、変化球もより大きくなるっていうのは感じましたね」と一定の手ごたえを得た。

 言わずもがな、有原は開幕投手を任されている。「有原さんがどう思ったかは分からないですけど、僕の中ではいいイメージでは終われました」。しっかりとした下準備と試合での取り組み。やるべきことをやった先にある未来は、きっと明るく輝いているはずだ。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)