入団会見の日にかかってきた1本の電話…12日のOP戦で“初対面”
やってきたことに自信を持っていたからこそ、古巣相手にも堂々と投げ込むことができた。マウンドに上がると自然と意識は消えた。巨人にFA移籍した甲斐拓也捕手の人的補償で加入した伊藤優輔投手は13日、みずほPayPayドームで行われた巨人とのオープン戦に先発。同級生の岡本和真内野手を2打数無安打に仕留めるなど、5回途中1安打無失点の好投を披露した。
前日12日には巨人ナインに挨拶。かつてのチームメートたちは笑顔で迎え入れてくれた。その輪には甲斐の姿もあった。2人は初対面だったが、甲斐から“謝罪”をされたことを明かした。
「『本当にごめんね』みたいな感じで。すごい沢山謝られました」
直接話すのは初めてだったが、一度だけ電話をもらったことがあった。ソフトバンクの入団会見が行われた1月21日。電話口の甲斐から出たのは謝罪の言葉だった。プロの世界は移籍はつきもの。「それは仕方がないことなんで。全然大丈夫ですと伝えました」。気遣いがありがたかった。
三塁ベンチにはかつてのチームメートが座っていた。投げ合うのは同期入団の山崎伊織投手。同学年の岡本和真内野手が4番を任されていたが、マウンドに立てば相手のことは気にしなくなった。それでも、岡本を2打席とも決め球のカットボールで三ゴロに抑えた。
「もう少し真っ向から行きたかったなっていうのもありますけど、日本で1番と言っていいくらいのバッターなので。そこを抑えられたのは自信になったかなと思います」
今年から先発調整となり、ローテーションを争う立場。マウンドを降りた際には足がつるなど課題も見られたが、巨人を相手に安打1本に抑えた。「先発は初めてなので。慣れていかないといけないですが、先につながるピッチングではあったかな」と納得の表情を浮かべる。
「色々な人にお世話になった4年間だったので。いい姿を見せられたのは良かったのかなと思います」。次に巨人と相対するのは交流戦。1軍の舞台での再会が古巣への一番の恩返しになる。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)