「ヤバいかなと思いました。(周東が)倒れ込んでいたので。自分は全然大丈夫だったんですけど、『やっちゃったな……』と思いましたね」
昨秋の日本シリーズが終わった直後に左膝を手術し、今春のキャンプではS班の一員としてリハビリをこなしながら状態を上げてきた周東。選手会長としても強いリーダーシップを発揮してきただけに、チームを離れることになれば大きな打撃になることは間違いなかった。
自らの足でベンチに下がった周東に、イニング終わりですぐに声をかけた。「大丈夫ですか?」。返ってきたのは「大丈夫、大丈夫」との言葉だった。「怪我はありませんか」と再確認すると、笑みを見せながら「多分大丈夫だと思う」と返事をもらった。
正木自身にとっては開幕1軍入り、そして定位置取りに向けてオープン戦は大事なアピールの場でもある。だからこそ、「あの言葉に救われましたね」。アクシデントが起こる直前の2回には左翼にアーチをかけていたが、その1本に終わらずに8回の第4打席でも右前打を放ち、マルチ安打をマーク。自身のプレーに集中できたのも、選手会長の言葉があったからだ。
昨年9月、不調に苦しんでいた際には「そろそろ打てよ」と冗談交じりで背中を押してくれた周東。「話しかけやすいですし、本当に優しくて慕いやすい先輩です」と話すほどの存在だからこそ、無事だったことが何よりもうれしかった。
「大丈夫だと分かって、本当にほっとしました」。周東は12日の巨人戦(みずほPayPayドーム)に出場し、適時打をマーク。正木も2安打を放って“復帰祝い”した。尊敬する先輩とともに活躍し、リーグ連覇と日本一を成し遂げたい――。その目標のため、まずは自らのことに全神経を注いでいく。