快音を響かせても笑顔はなかった。「まあ、あんまり良くはないですね……」。数秒間、考え込んだような表情を見せた後、つぶやくように明かした。12日にタマスタ筑後で行われたウエスタン・春季教育リーグのくふうハヤテ戦終了後、佐藤直樹外野手が本音を漏らした。
「わかんないっす。色々試してはいますけど。今何が悪いかわかんないので……」。1人で球場から室内練習場に戻った佐藤直。声のトーンは低かった。春季キャンプでは「(今オフに)やってきたことはあってるかな、って思います。良い感じだったなとは思います」と順調な仕上がりを実感していた。しかし、筑後に戻って以降、歯車が狂い出した。
「何かがずれていて。色々おかしくなっているという感じです」。昨年まで直球への対応が課題だった。一方で、真っ直ぐを意識すると変化球が打てなくなった。「どっちも打たないといけないので」。一度ハマった沼から抜け出す方法を模索している。
そんな中、小久保監督からは2軍帯同を告げられた。「『開幕1軍が無くなったわけではないから、まだ2軍でたくさん打席に立って経験してほしい』って感じで。切り替えて頑張ります」。期待や励まし、左投手への具体的な対応についてなど、沢山の言葉を受け取った。嬉しさも感じたが、“実力不足”を宣告されたのも事実。直後の試合で2安打と気を吐くも、表情は晴れなかった。
村松有人2軍打撃コーチは佐藤直の現状を「悪くはないんですけど、色々試行錯誤している」と明かす。「バットが下から入りすぎたり、上から入りすぎたりと同じ形で入らない。感覚がまだ乏しいというか、成功体験がないので。自分がどう動いているのかわからなかったら再現性がない」と課題も口にする。
「真っ直ぐを自分の思ったように捉えられないと、どっちつかずになるので、まずは真っ直ぐをしっかり狙って打てるようになることが先決」と村松コーチ。今の佐藤直には成功体験が必要。自信をつけて、再び1軍の舞台に戻ってくることを首脳陣は願っている。