昨年11月に左膝を手術…最新情報「下半身のトレーニングをしたりすると」
リニューアルした「鷹フルリレーインタビュー」。今回は、周東佑京選手の登場です。昨年11月に手術を受けた左膝の最新情報。また、2025年に狙いたいタイトルも明かしました。その目標設定の裏には柳田悠岐選手、近藤健介選手とのやり取りがあったと言います。
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左膝の手術を受け、3か月以上が経った。リハビリ組であることも考慮されて、春季キャンプはS組スタート。本隊に合流したのは今月15日だった。「トレーナーと話し合った結果ですね。僕的には全然、最初から合流できる状態ではあったんですけど。外に出たら動き回るでしょうということで、抑えてもらいながらやりました」と振り返る。もちろん快方に向かいながらも、日々の確認は絶対に怠らない。
「痛かったり、痛くなかったりというところです。気温(の影響)もありますし、その前の日の負荷だとか。グラウンドではそんなに動いていなくても、下半身のトレーニングをしたりすると痛いこともあります。日が経てばおさまりますし、ひどくはなっていないのかなと思います」
あくまでも、プロセスの途中にいる。痛みを抱えながら走り続けた昨季より、状態は確実に上向いている。手術前は患部が疼くこともあったという。春季キャンプを過ごす今、「朝は気になりますね。周りが固まっていたら嫌なので、膝を温める機械みたいなのも買いました。膝を温めることがモーニングルーティンです」と明かす。全力疾走にも問題はなく、ベースランニングについても「1本2本、3本くらいなら大丈夫ですけど、丸々1試合に出た時にどうなるのかはわからないです」と、ここからはまた別の領域だ。
2024年は123試合に出場して打率.269、115安打を放ち、初めて規定打席にも到達した。さらなる進化を求める今季、目指すのは最多安打のタイトルだ。盗塁王を3度経験しているスピードスターは「ヒット数を増やします。160回、ヒットで塁に出られれば。四球も合わせれば200回は出られると思うし、打席数が増えれば率を残すのは難しいですから」とキッパリ。1番打者として自分を高めたいと思えたのは、柳田&近藤の言葉が影響している。他愛もない話から、自身の方向性を改めて見つけた。
「去年なんですけど、コンさんとも『1番を打っていて首位打者ってキツくないですか?』みたいな話をしていたんです。僕は四球も少ないし、『まあ確かにな。狙うなら最多安打の方がいいんじゃない?』って。ギーさんは『打率は変動がある。ヒットは本数を積み重ねるだけだから、そっちの方が目標を立てやすいし、気持ち的にもいいんじゃない?』みたいな話をしました」
柳田は2015年と2018年、近藤は2024年に首位打者を獲得している。常に変化する率という領域で結果を残した2人から「ヒット数を増やした方がいい」と直接言われた。周東も昨季の経験を踏まえて、最多安打を狙う意味を語る。「1回もシーズンを通して出たことがないと、どれだけできるのか、挑めるのかわからなかった。初めての規定打席で、500打席いかなかったくらい(477打席)で、9番を打ったこともありましたし。1年間、1番としてできたら600ちょっとは立てるので」。
安打や打点、盗塁など「増える数字」を柳田も大切にしている。周東も「ビジョンを見ると率が映るじゃないですか。そこを見てしまうと気持ちも『ああじゃない、こうじゃない』ってなりますし。去年、3割を切った時も『あ、切っているな』って思いましたよ。これどこまで落ちるんだろうなって思ったので、あまり見ないように」と同調した。育成ドラフトでの入団から、チームの中心選手となった。数字もキャリアも、“積み重ね”こそ自分らしさだ。
昨年11月からリハビリ組となり、トレーニングは継続してきた。打球速度が上がっていることも実感しており、打撃面での改善点は「今は正しい動きをしたいと思いながらやろうとやっています」という。長谷川勇也、明石健志、菊池拓斗、3人のR&Dグループスキルコーチ(打撃)の力を借りながら、根本的な部分から自らを変えようとしている。
「去年1年間の試合のデータを出してもらいました。平均の打球角度が8度とかだったんです。めちゃくちゃ低い数字で、去年の僕はゴロアウトが多かった。35%から40%くらいはゴロだったんです。結局、ゴロを打っても飛んだところがよかったらアウトになるし、平均的な角度をあげたいと思ってやっています。13度くらいならヒットの本数も増えると思ってやっています」
4度目の盗塁王はもちろん、最多安打という新しい目標ができた。本気で目指すから価値がある。とにかく笑顔が目立つ今春のキャンプ。「(左膝の状態が)去年の悪い時に比べたら全然マシなので、野球ができているので楽しいって感じです」と頷いた。周東佑京が、グラウンドに帰ってくる。
(竹村岳 / Gaku Takemura)