「やりたいことができたと思います。結局、全部が全部をメニューに入れなかったし、リハビリの過程の中でできたんで。やりたいことができたし、うまく状態を上げていきながらできたのかなと思います」
左膝の状態を考慮しながら調整を進めてきたキャンプ。順調な仕上がりを笑顔で語った。A組に参加していれば、同じ練習と量をこなさなければならなかった。怪我の状態と向き合いながら練習をしなければならなかった周東にとって、独自の調整を許されたS組の導入は、良い環境となっていた。打撃練習やランニングなどの強度が高まっていることが、何よりの証拠だ。
選手同士の会話の中でもS組に関するポジティブな声が多く聞かれた。「自分の時間が割けるから、やりたいことができるし、練習量が逆に増やせるからめちゃくちゃいいと、ギータさんとかも、みんな言っていました」。時にはS組の野手だけでノックを受けたり、1人だけの打撃練習に時間を費やす選手の姿もあった。人数が少ないからこそ、球を打つ回数であったり、ノックを受ける量が自然と増えていった。
「時間は結構あるんで、考えながらできるのかなと思いました。だけどそれはあれだけ実績を残して、今こうして自分たちでできる人達だからできることだと思います」。実績があるからという理由で特別扱いされているわけではない。実績があるうえで練習量を求める選手がいるからこそS組を導入した。その目的を、S組の選手はしっかりと体現していた。
若手選手にとっても、S組の導入は大きなチャンスとなった。A組には育成選手の盛島稜大捕手や、桑原秀侍内野手らも参加した。「これだけ多くの指導陣に見てもらえるし、これだけのお客さんに見て貰えるところって少ないと思うので、そこはいいのかなと思います」と、選手会長の立場からも相乗効果があったと感じていた。レベルの高い環境で教わることや、身をもって感じることは大きな経験になったはずだ。
第4クール目からは紅白戦などのゲームに向けた実戦形式の練習が本格化していく。「みんなと練習できるのが楽しみです」。ファンからのプレゼントを大量に抱え、にこやかな表情で語る周東。2025年シーズンに向けた戦いが、さらに熱を帯びてくる。