鷹フル企画「スマホの写真、1枚ください」…西田広報が語る和田毅氏の気遣い
鷹フル企画「スマホの写真、1枚ください」。2025年も皆さまに選手の素顔をお届けします。西田哲朗広報からもらったのは、昨年限りで現役を引退して「球団統括本部付アドバイザー」に就任した和田毅氏。“第2の人生”の初日、西田広報が感じ取った緊張感を語ります。また、気遣いが伝わってくるエピソードも連発。夜に部屋をノックされ、ドアノブにかけられていたプレゼントとは?
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――これはどんな写真?
「基本、第1クールは和田さんと行動を一緒にしていましたね。朝食を食べるところから、移動するところまで。キャンプが始まる前日に『朝から一緒に……』って連絡をいただいたんです。選手じゃないですから僕らも対応できますし。キャンプが始まる日、朝食からご一緒させていただきました。いろいろ話をするわけですよ。和田さんも、いろんなことを考えながら、行動されているんだと感じました」
「選手の時は、結構指導もされていたじゃないですか。(今回は)立場を考えて、コーチ陣もいる中で、自ら指導はしないようにするというのは言っていましたね。聞かれたら答えるというスタンスを心がけていました。朝食を食べながら、今後のスケジュールなんかも聞きながら、他愛もない会話ですよね。和田さんと一緒に朝を、仕事を迎えるというのは、僕的にも背筋が伸びましたね。キャンプインで僕たちも緊張感がありますし、和田さんも初めての役職ですから」
――朝食は、何時集合なんですか?
「(午前)7時すぎですね。食事は20分間くらい。いつもは早く球場に来てランニングする日課があるんですけど、和田さんのお願いで第1クールは朝からご一緒することになった。僕にとっても嬉しい話じゃないですか。和田さんのセカンドキャリア、スタートをともにできるというのは嬉しいお話だったので。僕もいろんなことを勉強できると思ったんです」
――2月1日の朝はやはり緊張感があるもの。2人の間でもそんなものは感じましたか?
「僕も和田さんと普段からよくお話もさせてもらいます。お食事にも誘ってもらえるので、いろいろと和田さんから勉強させてもらっています。ただ、2月1日は僕にとっても和田さんにとっても一発目。緊張感がありましたね。和田さんと話すのも、ちょっとピリッとしましたね」
「僕、インスタグラムにも上げているんですけど、クリスマスの時にご自宅まで招待してもらったんですよ。12月25日で、晃(中村)さんもいらっしゃいました。庭で、焼き肉をしようと。僕らからしたらめちゃくちゃ嬉しいクリスマスプレゼントですよね。現役の時の話をしながら、焼き肉を食べました」
「その時の、和田さんのサプライズ見ましたか? 緑色のサンタのコスチュームを着ていたんです。和田さんがサプライズしてくれるんや、みたいな。クリスマスなので、僕も赤い帽子くらいはかぶっていこうかなと思ったんですけど、そんなふざけたらあかんなって。でも、ご自宅に行ったらもう和田さんがそれを着てお出迎えしてくれました」
「そういうところが、これだけ長く野球をやれた、マスコミの方もファンの方からも、和田さんはみんなから愛されている。『今日は俺がおもてなしをするから』って。広報の仕事としても日頃からいろいろとお願いを聞いてもらったり、いろいろ協力してもらっていた部分もあるんですけど。逆に和田さんからおもてなしをされた時は、感慨深いものがありました。そんなことまでやってくれるんやって」
「一緒に仕事をする仲なんですけど、オンオフがある。このキャンプでは1日目から4日目まで、朝ご飯から球場への移動も一緒にいたんですけど、毎日話す内容も違います」
――印象に残った姿、言葉はありましたか?
「言いたいことはたくさんあるみたいですけど、チームとして戦う中でコーチもスコアラーさんもいる。『聞かれたら言うスタイルでいこう』とは言っていました。周りのことも考えて、指導している感じでしたし。『球団のインタビューも協力していくよ』いう話もありましたし、若い選手が頑張っている姿を見て『もうちょっとこうしたら、って思うところもあるけど、もう少し待ってみよう』とか。僕は『和田さんからしてあげると選手のためにもなると思いますけどね』なんて話もしながら、そんな感じでした。チームがいい方向に行くように、心がけていましたね」
「そしたらですね、すごいです。昨日(5日)が最終日だったんですけど、夜に部屋“コンコン”って(ノックが)あったんです。僕、出られなかったんですよ、ちょうど眠りに入ったくらいで、聞こえるか聞こえないかくらいの音でしたし。メッセージを見たら『第1クールを一緒に過ごしてくれたお礼』ということで、スリッパをくださいました。めちゃくちゃいいスリッパをドアノブにかけてくださいましたね。そういう気遣いもしてくれるんですよね」
――随所に和田さんの優しさが溢れている。
「一昨年に『情熱大陸』の密着があって、担当させていただきました。それに携わることができたのが、僕の中ではすごく大きかったです。いい年に、いい主力で、いい密着ができたのが嬉しかったです。自主トレからシーズンにかけて、半年くらいの密着でした。結構大変なんですけど、大仕事ができたなと思いますし」
「宮崎キャンプの時にはもう密着が始まっていて、近くにすごくパワースポットと呼ばれる神社があるんです。2023年、一番いい運気の神社だったんです。僕がそこに1人でお参りに行ってみたら、内川(聖一)さんにバッタリ会ったんですよね。それも本当に引き寄せるんやなって思っていたんですけど、その神社が人気すぎてお守りが売り切れていたんです」
「和田さんにも『売り切れていました。でも内川さんと会えてよかったです』っていう話をしたんです。そしたら後日、パッと和田さんが『売り切れてたんでしょ? 行ってきたから買ってきたよ』ってプレゼントしてくれました。1人の裏方にそんなところまでしてくれるんやって。人間性が本当にすごいです」
――野球選手は、周囲から気を遣われる。そんな中で、自らそれだけできるのもすごい。
「そうなんですよ。だから、引退されてからもいろんなところに引っ張りだこですし、そういう人間性は本当に見習わないといけないです」
(竹村岳 / Gaku Takemura)