前田悠伍との初対面「この子すごく面白い」 上茶谷が感じた“今永イズム”…まさかの共通点

初対面を果たした前田悠伍(左)と上茶谷大河【写真:竹村岳】
初対面を果たした前田悠伍(左)と上茶谷大河【写真:竹村岳】

初めて筑後に姿を見せた前田悠伍…「上茶谷さんって上がられましたか?」

 爆笑の初対面だった。接点もないはずの2人が、一体なぜ? 前田悠伍投手が24日、ファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」で自主トレを行なった。トレーニングを終えると、報道陣の取材に対応。今永昇太投手との自主トレについて振り返った。クラブハウスに戻ろうとしたが、足を止める。「上茶谷さんって、もう上がられましたか?」。

 律儀な左腕が姿を探したのは、上茶谷大河投手だ。昨年12月の現役ドラフトでDeNAから移籍してきた。まだ挨拶を済ませられていなかった前田悠は、すぐに足を運んだ。19歳と、28歳。初対面であるにもかかわらず、遠めから見ていても、2人は身ぶり手ぶりを交えて爆笑を繰り返していた。

 上茶谷が会話の内容を明かした。意外な共通点は、ファンにも広く知れ渡っているあの“誇張モノマネ”だった。

「前田くんは、今永さんと自主トレをやられていたので、いろいろその話をしていました。『あの人ふざけてるよね、面白いよね』って」

 昨季、カブスで15勝を挙げた先輩は、上茶谷にとってもDeNA時代のチームメート。人柄をよく理解しているからこそ、共通の話題で盛り上がった。底抜けに明るい性格に触れ、前田悠が「なんか今永さんとめっちゃ似ていました」と話せば、新加入の右腕も「ベイスターズの投手陣はああいう感じで、みんな今永さんを見て育っています。練習とか野球の時間はずっと一緒にいたので、僕も同じような雰囲気はあると思います」。少し自覚はあるところにも、なんだか惹かれてしまう。

 ファンの間でも広く知れ渡ったのが、“誇張モノマネ”だ。2019年、試合前の声出しで上茶谷は今永のモノマネを披露。特徴を掴みつつ、大げさに動きを入れた一芸は、ナインの大爆笑をさらった。映像は瞬く間に拡散されて、一気にキャラも定着。前田悠もその動画を「めっちゃ見ていたので。生で見たいです」と楽しみにしているが、エンターテイナーは首を横に振る。

「あれは多分、日本の人口が1億2000万人いるのなら、その中の8000万人ぐらいは見ているかな。それくらいイチ推し、珠玉のネタなので、そう簡単に出すわけにはいかないです。他の人(のモノマネ)やったら出せるんですけど、あれだけはちょっとお金がかかっちゃうかな」

取材に応じた上茶谷大河【写真:上杉あずさ】
取材に応じた上茶谷大河【写真:上杉あずさ】

 自分の中でも、まさに十八番。ソフトバンクからDeNAに移籍し、兄貴分となっていた森唯斗投手の前でも披露したことがないという。「あれだけはちょっと高いんです。今永さんの特別許可も必要なので。そうなってくると、出演料1000万円はかからないかなとは思いますけどね……」。ここまでくると、もう冗談連発。自主トレをともにした前田悠ですら「まだ全然早いですね。こんな出せるわけない。申し訳ないです」と生モノマネを“安売り”するつもりはない。

 初対面だったが、共通する先輩のおかげで距離はすぐに縮まった。新しく後輩となった19歳左腕の印象には「真面目でクールな感じかなと思っていたんですけど、彼も今永さん寄りの何かを感じましたね。話している中でしれっと挟んでくる“チョケ”が、この子すごく面白いなと」。前田悠も、人見知りの部類に入るはずだが「上茶谷さんは、ちょっと話して『この人、いける人やな』って思いました」と、お互いに掴みはバッチリだ。

 ホークスファンの中で上茶谷が知られたネタと言えば2023年、DeNAのファンフェスティバルで見せた森唯のモノマネだろう。入団が発表された直後で、まだ面識もなかった時。上茶谷は、金の極太アクセサリーを首からぶら下げて、豪快にイジって歓迎した。「あのネックレスはAmazonで500円くらいで買いました」と、驚きの価格だったという。その金額の品を選んだことさえも上茶谷にとってはイジりだ。現役ドラフトで福岡が新天地となり「森さんのロッカーに置いてきたんですけど『いらんわ』って言われました」と、絶妙なやりとりを明かした。

 裏表がない底抜けの明るさ。「ちょっとまだ抑えています。さすがに出せていないです」と、なんなら遠慮がちだ。筑後を訪れた初日からファンやチームメート、報道陣を笑わせてくれている。「僕、こんな人っす。もうわかるでしょ? (西武の甲斐野)央と一緒です」。人を笑顔にする素晴らしい才能。1軍のマウンドで見られる日が、今から楽しみだ。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)