甲斐拓也流出も「こんなチャンスはない」 小久保監督はあえて静観「邪魔しないように見る」
- 小久保裕紀
- 2025.01.26
育成の盛島、ドラ2庄子がA組入り 指揮官「ワクワクしながらキャンプインしたい」
ソフトバンクは26日、プレイボールミーティング(監督・コーチ会議)を開き、2月1日から始まる春季キャンプのメンバー振り分けを決定した。甲斐拓也捕手が巨人にFA移籍したことで注目が集まる正捕手争いについては、谷川原健太捕手、海野隆司捕手、渡邉陸捕手、そして育成の盛島稜大捕手の4人がA組スタート。新人ではドラフト2位の庄子雄大内野手もA組に入った。日本シリーズ直後に左ひざを手術した周東佑京内野手はS班での調整となった。取材に応じた城島健司チーフベースボールオフィサー兼会長付特別アドバイザー(CBO)、小久保裕紀監督の主なコメントは以下の通り。
(城島CBO)
――お召し物は?
「僕は今年から球団行事でみんなスーツを着る以外は和装でいきます」
――いよいよキャンプが始まる。
「いよいよスタートするなと。監督、コーチ、スタッフがみんな集まるのは、これが(今年は)最初で最後ですから。いよいよ2月1日がプロ野球の正月ですので。いよいよ始まるなと。オフの集まり事とはちょっと違う、みんなもちょっときりっとした表情でしたね」
――新たな役職で臨むキャンプ。心境は?
「2025年、もちろんチームが勝ってもらうために全力でサポートはしますが、それはもう小久保さんをはじめ現場がやる仕事ですから。僕はやっぱり長期的に見て、選手の育成ですとか、グラウンドや施設の整備だったり。そういうところが僕の仕事になってきますので。完全に役割が違うので。シーズンが始まればもちろん、小久保さんの要望があれば、それに応えるのがフロントの仕事ですけれども。それ以外は長期的に見て、未来にわたって皆さんに愛されるチームを作れるのか。そして強いチームを作るというのが我々の、私の仕事です。それに向かって仕事をしたいなと思います」
――今年新たな取り組みとしてS組を導入した。
「若い選手はアピールしなくちゃいけない場所ですけど、ベテランの選手、責任は自分で取らなければいけない立場の選手たちがS班ですからね。S班だから何もしなくていいよと言っているわけじゃなく、責任はあなたたちにかかっていますからねという球団からのメッセージなので。しっかり調整して、開幕から結果を出してくださいという選手たちなので。小久保さんを含め、新しいことにチャレンジしていきたいという組織なので。チャレンジして、もしダメだったら戻せばいいだけなので。そういう小さなトライ&エラーの上に、我々の今の成功というのはそこに乗っているわけなので。優勝したからと言ってそのままじゃなくて、日々新しいことにチャレンジして、よりいいものを未来に残したいなと。そういう思いですね」
――甲斐拓也選手が巨人に移籍した。正捕手争いに注目が集まる。
「ファンの人も、また我々も注目するところがあって、大いに楽しめるキャンプになるんじゃないですか? 『私はこの子だと思うな』『僕はこの人だと思うな』っていう予測もしながら、キャンプを見るのも楽しいでしょうし、オープン戦も含めて。まあ一つ言えることは、もちろん甲斐という素晴らしい、日本を代表するキャッチャーが抜けたことは間違いないですから。彼がいればチャンスがなかった選手がチャンスをもらえるということは間違いないですよね。そういうのが我々の組織力になってくると思うので、甲斐に代わるポジションを与えられた人たちが、ぜひホークスのホームベースをしっかりと守って、勝利に導いてくれる、活躍をしてくれる準備をしてもらって。それこそファーム組織でしっかりやらせていますので、ある意味、指導の結果が出るという意味では楽しみにしているコーチもいるんじゃないですかね。我々は心配でしかないですけどね」
――ファンへ。
「やっぱりホークスのキャンプはどの球団よりも選手がファンに近いと思うんです。もちろんサインとか写真をもらって、シーズン中にその選手を応援してもらうっていうのはもちろんですけど。サインをもらえなくても、選手を近くで見たらこんなに大きいんだとか、こんなにかっこいいんだとか。そういうのも近くで見ないと分からない部分だと思うので。近くで選手を見て、もちろんファンがあっての選手ですから。ファンの方から頑張れよって言ってもらえたら、選手も頑張れると思うんですよね。僕らは見ているだけですけど、選手は1か月大変なんですよ。なので、選手のモチベーションを上げるように、ファンの方の応援が力になると思いますので。ぜひ宮﨑に足を運んでください」
――着物。
「もう50(歳)も近くなったから、和装もいいかなって。関係ないんですけどね、ははっ。これは全部新調しました」
――組み分けやキャンプでの取り組みなどに城島CBOから意見を出された?
「いえ、出してません。昨年まではシニアコーディネーターとしての意見が入ってましたけど、今年は離れたので。練習メニューとか組み分けに関しては僕は入っていないです。僕らの仕事は現場がこういうことをしたいですとか、例えばこのアプリを入れてほしいとか。そういうことへの対応や、メンタルトレーナーは現場からの意見があったので、それを議題にかけて必要なんじゃないかとか。そういうチャレンジ、提案への決定ですよね。小久保さんからは現場としてこうしたほうがいいんじゃないか、ロッカーをこうしたほうがいいんじゃないかとか。そういうのをこちらが話します、議題にかけますと。現場では小久保さんとそういう感じなので。小久保さんに『このバッターは何番がいいですよ』とか言うのは僕の仕事ではないので。もし怪我人が出れば、そこの補強だったりとかはシーズン中には必要になってくると思いますけど」
――宮崎での動きは?
「宮崎では他球団の訪問ですね。交流を含めてあいさつ回り、そしていろいろと編成の動きだったりもあるので。宮崎にいる間でタイミングが合えば、広島の新井(貴浩監督)も同級生ですし、ジャイアンツの方にも……。そういう対応は少し増えてくるのかなと思います」
――アーリーワークの指導は?
「今年から指導は打撃コーチがやりませんので。食事会場も今年から分かれるのかな。先輩として『バッターはこうあるべきだ』みたいなことは話すかもしれないですけど、バットを持って指導というのは、コーチの仕事ではなくなっていますので。それも新しいチャレンジでやっていくので。キャンプでやってみて『小久保さん戻したほうがいいですよ』『選手すっきりしてませんよ』っていうこともあるかもしれないですし。もしくは『やっぱりいいですね、続けていきましょうよ』っていうのももちろん。もしダメな時はトライ&エラーですぐに戻せばいいわけで。現場での確認はしますけど、指導はしません」
(小久保監督)
――現在の心境は。
「きょうは首脳陣、フロントの方々、スタッフと(今年)初めて会ったんで。いよいよ始まるなという感じはしましたね」
――全体に伝えたことは?
「1軍監督は(孫正義)オーナーと直接挨拶させていただく機会があるので。ちょうど今週お会いしたばかりなので。オーナーの思いとか、熱量とか。そういうものがある中で我々ホークスは当然、志高く世界一の球団を目指さなくちゃいけないので。最初にそういう話をさせてもらいました」
――これまでとの違いは?
「まあS(班)は今年からのトライアルですけども。背景として今の選手はオフに練習を続ける人がほとんどなので。2月のキャンプに改めて(一から)作るという概念があまりないんじゃないかなというところから。どちらかというと自分たちでやってもらって。実戦が始まるところで合流してもらう間に、若い選手をなるべく見る時間に充てるという狙いで今回やりました。フロントからの話もあって、若い育成の選手も数名(A組に)入れることになりました」
――育成からは誰がA組に入るのか。
「キャッチャーは盛島。あとは外野手の佐藤(航太)。昨年の2軍での活躍もあって、A組でスタートという話になりました」
――ルーキーは?
「庄子もA組ですね。ピッチャーは倉野(信次1軍投手)コーチの考えもあってB組スタートですけど」
――甲斐選手が抜けた中、新たな争いが始まる。
「実際は楽しみですね、キャッチャーは。誰が出てくるか。本当に選手同士の争いを邪魔しないように、とにかくじっくり見るというのを自分の中でのテーマにしながら。しっかり見たうえで、最終的に誰にするかというのは開幕で決まるんですけども。キャッチャーの争いに関してはとにかくしっかり、また外野手の争いもしっかり見ていきたいと思います」
――キャンプについて新たにトライしていくことは?
「新しくはないですね。去年トライアルしたことが結構よかったので。引き続きトレーナー、SC(ストレングス&コンディショニング)さんたちの負担も減らすために全体練習は早めに切り上げる方針でいますし。朝に関しては宮崎は多少寒いかもしれないですけど、30分早くなったところでそんなに差はないので。第1クールは全体でウオーミングアップしますけど、第2クールからはアーリーワークもあるので。今の選手たちは来るのがめちゃくちゃ早いので。そのままグラウンドに入ってきてもらって。スプリントの合わせが終わった後、キャッチボールが始まったくらいでメイン球場に来てもらう形になります」
――今季の目標について。
「勝敗の責任、負けの責任は全部自分にあるので。(昨年の)最後に日本シリーズで負けた悔しさ、もやもやを抱えたまま、このオフを過ごしましたんで。最大の目標は日本一奪回。よりワクワクしながらキャンプインしたいなと思います」
――育成のA組抜擢はフロントからの話も合った。
「盛島はそうですね。佐藤の場合は昨年しっかりと成績を残していたので。A組に入った中でどう見えるかと。今年は54人育成を抱えているので」
――A組の捕手は。
「谷川原、海野、渡邉陸と盛島。4人ですね」
――上沢直之投手ら新加入選手は?
「移籍組は全員A組です」
――4人とも先発で想定。
「そうですね」
――松本裕樹投手、藤井皓哉投手、周東佑京内野手らはリハビリか。
「佑京は宮崎に来ます。選手会長なんで」
――甲斐が抜けたことをチャンスと思ってほしい。
「まあ、もうこんなチャンスはないでしょうからね。邪魔しないようにしっかり、しっかり見ようと思います」
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)