今宮が自主トレ公開「先輩の姿を必ず後輩は見ている」
あくまでも前向きに、現役生活の“最後”を捉えている。「僕のやることは塁に出ること、いろんなところで犠牲になっていくことだと思うので。残りを考えた時に片手で終わるんじゃないかという野球生活。だからこそ、しっかりとそういう部分を一途に思ってやっていきたいです」。
今宮健太内野手が12日、福岡県宮若市で自主トレを公開した。寒波が到来している影響で、いまだに屋外での打撃練習はできていない。「100%の出力を出していないのが現状」と口にしたものの、内野ノックでの身のこなしは名手と呼ぶにふさわしい華麗さだった。
昨季は133試合に出場して、打率.262、6本塁打、39打点をマーク。レギュラーとしてホークスのリーグ優勝に大きく貢献し、ベストナインにも輝いた。16年目を迎える今季もその座は揺るがないように思えるが、あくまで「まずは開幕戦でショートとしてスタメンで出ること」とぶれることはない。2024年のドラフトで、球団は遊撃をメインで守る野手を3人獲得した。「ポスト今宮」が叫ばれて久しい中で、現状の心境とは――。
「(遊撃手が3人指名されて)感じるところはあるんですけど、なかなかちょっと言いにくいところもありますし。ショートのポジションっていうのは、やっぱりチームにとってもすごく大事なポジションだと僕の中でも思っています。難しいですね、答え方が……」
入団3年目の2012年、21歳シーズンで126試合に出場して以降は、長らくホークスの遊撃を守ってきた。そんな今宮も今年で34歳を迎える。これまで何度も「同じ実力なら若い子を使うのは当然なので」と口にするなど、危機感は常に胸の中にある。「自分の中ではショートを守れなくなったら終わりだと思っている」。その思いに偽りはない。
実際に、ここ数年はライバルとの争いを勝ち抜いてきた。2022年にはメジャー通算109本塁打を誇る大物外国人のフレディ・ガルビス内野手が加入。日本人でも野村勇内野手や川瀬晃内野手が虎視眈々と遊撃のポジションを狙った。それでも、自らが築いてきた“城”を譲り渡すことはなかった。
「みんな競争や下からの突き上げがあることで、メンタルの面でも色々と変わってくる。僕も何年か前にはショートを守れる外国人選手(ガルビス)が来るというのがあって、『負けてられるか』っていう気持ちになりましたし、それがここまで現役をやれている1つの理由でもあると思うので。すごく大事なことだと思います。負けるか、負けないかは自分自身なので」。激しいポジション争いこそが、現在までプレーを続けられた原動力でもある。
鷹フルの新春インタビューでは「危機感もありますけど、もちろん『負けるわけねえだろ』と思いながらやっています」と、強烈なプライドも口にしていた33歳。「レギュラーの選手、いい選手は、基本的なことをしっかりやるんだなというのは姿で見せていきたいですし、先輩の姿を必ず後輩は見ているので。口ではなかなか言えないですけど、姿勢として見せていきたいなと思います」。2025年もグラウンドの中心で今宮健太の生きざまを見せつける。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)